歯医者でおこなう呼吸障害(いびきや睡眠時無呼吸症候群など)や歯ぎしり治療法をご紹介します。
いびき(呼吸障害)とは
いびきとは空気の通り道が狭まっているのに無理やり呼吸しようとして起こる音を指します。多くの場合は軟口蓋の振動による音です。
日本人では男性の21%、女性の6%がいびきをかくとの報告があります。いびきによって起こる最も大きな問題が騒音です。これは家族に迷惑をかけるだけでなく、もっと大きい問題が隠れています。
いびきは体に負担をかけるため疲労、イライラ、記憶力や集中力の低下だけでなく高血圧や糖尿病,心筋梗塞などの病気を引き起こすことがあります。
極端なケースではいびきが原因でで突然死する可能性も指摘されています。
睡眠時無呼吸症候群
これは上気道に障害があり、空気の通り道が極端に狭まっているのが原因で、睡眠中に呼吸が数十秒間止まった状態を一晩に何度も繰り返す病気です。
睡眠時無呼吸症候群の方はしっかり睡眠を取ったつもりでも眠りが浅く、疲れが残ったり、日中にいきなり猛烈な眠気に襲われたりします。
1993年にアメリカ議会と保健省に提出された「Wake Up America」という報告書によると、スリーマイル島の原発事故やアラスカ沖のタンカー座礁事故や、スペースシャトル「チャレンジャー」の事故も睡眠時無呼吸症候群が関連していると結論づけています。欧米での論文によると中年男性の1~2%がこの病気にかかっているとの報告があります。
睡眠時無呼吸症候群が恐ろしいのは合併症を引き起こすことで、例えば高血圧や不整脈などの循環器系の障害や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった心臓や脳血管障害を引き起こす確率が高くなることです。
いびき(呼吸障害)治療
歯科医院でできる治療
スリープスプリント
スリープスプリント「IBIKITOL(いびき取ーる)」は、就寝時にマウスピースのようなものを口の中に装着することで、下顎を前に引き出し、舌根の沈下を防止して気道を確保します。この装置により呼吸障害の76%の方に効果がでたとの報告もあります。
対象となる方は「アゴが小さい、下顎が後退している、太って舌が肥大している、舌根の沈下を起こしやすい」などです。
ただし、アデノイドや口蓋扁桃肥大のある方や歯の数が少なかったり、噛み合わせの悪い方は適していません。このスリープスプリントを使用したい場合は、必ず医師や歯科医師に相談してから、診断指導を受けてください。また、健康保険は効きません。
持続陽圧呼吸装置
持続陽圧呼吸装置は鼻にゴムマスクのようなものを装着し、コンプレッサーによって空気を持続的に鼻から上気道に送り込むことで、上気道の閉鎖を防ぐ方法です。
大変効果的な治療法ですが1セット35万円ぐらいと高価なうえ、専門医の診断を受ける必要があります。重度の睡眠時無呼吸症候群の方なら保険が効きます。
その他の治療法
その他には薬物療法や手術による外科的治療法がございます。
家でできる治療法
ダイエット(減量)
いびきをかかれる方は肥満の方が多いため、該当する場合は健康のためにもダイエットがおすすめです。
鼻孔拡張テープ
鼻孔拡張テープは、鼻孔を広げて酸素の吸入量を増やす目的で使います。代表的な商品としては3Mヘルスケア「ブリーズライト」などがあります。
横向きで寝る癖をつける
仰向けで寝ると舌がのどに落ち込み、上気道を塞ぎやすくなります。その為、横向きで寝る習慣をつけることで舌の落ち込みを防止できます。
鼻呼吸
歯ぎしり治療
就寝中に歯と歯を擦り合わせ、甲高い音を立てることを歯ぎしりと呼びます。騒音で周りに迷惑をかけたり、歯の擦り減り、差し歯が折れるなどの悪影響があります。
歯ぎしり治療法
歯ぎしりや食いしばりが起きる原因は、いくつか考えられます。なかの歯科・矯正歯科クリニックでは、原因に合わせた治療法をご提案しております。
※動画を再生するときは音量にご注意ください。
噛み合わせの調整
噛み合わせがズレている場合、噛み合わせの調整(咬合調整)することで、症状の改善を期待できます。不適合な詰め物・被せ物を削ったり、作り直したりします。噛み合わせによっては、全顎的に再構成を行います。
ナイトガード
歯ぎしり防止装置にナイトガードの「歯XYLITOL(歯ぎしり取ーる)」があります。ソフトタイプのナイトガードを就寝時に装着することでほとんどの歯ぎしりを防止できます。
※現在は保険適用です。
ボツリヌス治療
筋緊張の緩和が期待できる薬剤「ボツリヌス製剤=ボツリヌストキシン」を使用した治療です。ボツリヌス製剤は、筋肉と神経の結合部に作用し、神経から筋肉への命令伝達を阻害し、筋緊張を弱めることで効果を発揮します。
強い噛みしめによる歯根破折
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