禊の旅
禊の旅
このお盆休みを利用して、私と妻は色々な出来事から禊の旅をすることになった。
最初の目的地は和歌山県の高野山、次の目的地は熊野三山、最終的な目的地は
伊勢神宮、お伊勢さん、もちろんその前後には中野家のお墓参りということで
この悪い全ての流れを洗い流そうと、コロナ対策も兼ねて車で
長距離の旅に出ることになった。
高野山には初めて行くことになった。
これほど綺麗なお寺が立ち並び、多くの観光客が訪れるとこだということは
私も知らなかった。
毎年、新春のお払いの会とか岡山大学医学部の学生さんに対する特別授業の後の
懇親会でお会いしている炎の行者、池口恵観先生の高野山のお寺を訪れることになった。
岡山を朝7時前に出発をして、高野山までは高速を使って4時間ほどかかり
お昼11時過ぎになんとか高野山に到着することができた。
その時は多くの方が午後1時からの護摩業の準備をされていて
私と妻はただお参りすることにした。
高野山から南に下り、その日は和歌山のある有名なリゾート地で一泊する事にした。
せっかくホテルに宿泊するのだから、ホテルで食事をするのではなくて
地元の有名なお店で食事を取りたいと思い、私はネットで調べて
その土地で一番有名なあるお寿司屋さんを予約した。
お盆休みということもあってか、おそらくを予約が立て込んでるみたいで
1週間前の予約も変わらず、最後の午後8時に来てください!ということで
電話に出た女性の方の対応がそんなにウェルカムという感じではなく、
どうもちょっとめんどくさそうな雰囲気を感じて、私はそのお寿司屋さんで
食事をとることに少し心配していた。
歯科医院でも受付スタッフの電話の応対は本当に大切だと
身を染みて実感した。
ただその心配は杞憂に終わった。
ホテルのロビーで少し待っている時に、そのお寿司屋さんから電話が入り
お席が空きましたので今から来てくださいということで、
午後8時の予約が7時半前に少し前倒しになった。
私と妻はタクシーでそのお寿司屋さんに向かった。
大変綺麗な門構えの大きいお寿司屋さんで、お店の中も多くのお客さんで
すごい繁盛していた。
そのお寿司屋さんは、全てお任せコースで1万円1万5千円と言う全てお任せと
いうことではなくて、周りの方がどういう注文してるか見ていると
ほとんどの方が特上寿司をお願いして、あとはプラスして壁に貼られている
半紙に筆で書かれた一品料理を頼んでいるそんなお店だった。
ただ特上寿司も一人前が3800円と、高級というよりは
地元の人にも愛されている、尚且つ観光客の方も来る、そういったお寿司屋さんだった。
私はおそらく若女将だろうという方に、とりあえずお酒のあてを3品位お任せでお願いして
後は、特上寿司を2人前お願いしますというお願いをした。
私たちは、カウンターではなくて奥のテーブル席に座っていた。
それまでのお客様のオーダーで、カウンターの中の寿司職人さんは4名ぐらい、
大忙しで仕事をしていた。
私と妻がお酒を飲んで、あてを食べながら乾杯している時だった。
カウンターの中の、おそらく大将いや大将の息子さん、若大将のような方が
私たちに声を急に私たちに声をかけてきた。
いや声をかけてきたというよりは、こうお話をされてきた。
「中野さん、すみません!今店が忙しいので、
もう少しだけ、お料理は待って貰えませんか?」
私と妻は、顔を見合わせた。
その店は割と広く、カウンターと中の寿司職人の方は
普通に話が出来る距離の状況であったのだが、
奥のテーブル席までカウンターから声をかけるって言うのは私は想像すらしなかった。
「中野さんて?私達の事だよね??」と私と妻は顔を見合わせた。
出てきた3品の料理は和歌山のお酒にもあって大変美味しく頂いた。
しかし、途中途中で、その若大将の方は、私たちに声をかけられてきた。
「中野さんどうですか?そのおつまみ、冷酒を飲まれているのでお勧めしました!」
そういったカウンターとテーブル席の距離のあるの会話は、その後何度も続いた。
「中野さんは、どちらのホテルに泊まれてるんですか?」
「中野さんは、どちらから来られてるんですか?」
「岡山なんですね、岡山といえば。。。。」
妻がコッソリ言った。
「中野さんってもう4回言ったよね!」
私も心から驚いた!
初めて寿司屋に訪れた地方の観光客の私と妻、
もう2度と来ないかもしれない!普通は来ない!!
その私と妻に、その若店主はすごく声をかけて下さって、
フレンドリーに話をして下さる。
お店は暇じゃない!凄く忙しい。
勿論私と妻以外のお客さんには大女将や年配の大将の方が
しっかりとお話をされてコミュニケーションを取られている。
始めて来たお寿司屋さんでこれだ。
私は診療中は基本、余り患者さんと話をしない!
もちろん患者さんの思いや背景をしっかりと伺って
30分や60分の診療時間を1分とも無駄にしないで
しっかりとした歯科治療を提供しようと心から
思っているのだが、ここまで気配り心配りが
今まで出来ていただろうか?
おそらく和歌山のそのリゾート地には大阪ナンバーの車が多く
大阪からも若い方もたくさん遊びに来られているので
あまり夜遅く出歩くなと思って、近くのバーで一杯だけお酒を飲んで私たちはホテルに帰ることになった。