和歌山のホテル

私は岡山県に住んでいて、県外で岡山と言うと
一文字違いの和歌山と間違える方が多いので
勝手に和歌山に親近感を持っていたの。

今回は和歌山でホテルに宿泊するのは
57年間の人生において初めてであった。

Go to トラベルキャンペーンの対象になるために
私達の宿泊費の1/3は国が負担してくれる。

だから和歌山のあるリゾート地の昔からある有名な関西の
お金持ちの方が泊まると言う、少し高台にあるホテルを私は予約していた。

数年前に全てがリニューアルされて名前も変わっていたそのホテルは
暑い中、ホテルの外までも人がたくさんいて良いホテルであることが
すぐにわかった。

駐車場を見ると、なんばナンバー、神戸ナンバー等
いわゆる関西のナンバーの方がほとんどで、車の種類も
ベントレーとかベンツとか BMW とか、いわゆる超高級車ばかりで
関西のお金持ちの方が宿泊されるホテルだという感じが漂っていた。

午後3時過ぎにホテルにチェックインした。

私は夕食の時間まで少し時間があるので
プールに本を持って行ってそこで読書をしようと思っていた。

ホテルのプールは、中庭にあり小さい子供連れの家族で非常に賑わっていた。

その中で、一人だけ目を引いたのが若いお父さんの背中
小さい子供と遊んでいるのだ、上半身裸の背中に見事な彫り物がされていた。

和歌山では、こういう彫り物もホテル側では OK なのかな？
そういった方も家族でプライベートに来られているんだろうか？と思いながら
関わりになることを避けて、私はプールで本を読むことはやめて
お部屋に戻ることにした。

そのホテルは温泉が有名で、私は食事の前にひと風呂浴びて
それから食事に行こうと思って
いわゆる温泉、大浴場に出かけることにした。

部屋数、規模が大きいホテルの割には、時間が早かったのか？
温泉、大浴場には私以外3人の人しかいなかった。

脱衣所で着替えていたある若い人と
中学生ぐらいの息子さんの二人を見て私はまた驚いた。

背中に立派な彫り物がある。

少し前に見た方と同じ人かどうか私は不安だったのだが
昼間の方よりも彫り物の面積が広いような気がした。

あまりじろじろ見るのもと思って私はさっさとお風呂から出ることにした。

その土地の一番というお寿司屋さんで少しだけお酒を飲んだ私は
ホテルに戻り、その夜に再び大浴場温泉に行くことにした。

その大浴場温泉には、サウナが付いていて、最近の私は
サウナ好きということもあって、タオルを持ってサウナに入ろうとすると、
そこには既に背中に立派な彫り物をされている
男性が一人既に座られていた。

お昼のプールの方？食事前のここであった方？？別の方？？？
たぶん違う！もっと立派な広い範囲の彫り物をされていた方を前にして
私はそっとサウナのドアを閉じて、決して目を合わさないようにして
ホテルの部屋にそそくさと戻った。

いったい、このホテルには何名のそういった方が来られているんだろうか？

その夜はホテルの部屋で休み、翌朝の早朝はそこの大浴場は
朝7時から開いてるということで、朝7時に再びそこの大浴場に行くことにした。

その時も私以外は3名しか人はいなかったの。

中学生の子供と一緒に来ているお父さんの背中がすごかった。

今までの方は、肩から肩甲骨まで、彫り物は背中周りだけだったのが
その方は、お尻から太ももまで背中中に立派な彫り物がされていた。

私はおしっこをちびりながら、すぐ大浴場を後にした。

もしかしたら和歌山には、いやこのホテルには
そう言った方々が家族で遊びにくる風習があるのかもしれない。

私と妻はホテルを早々にチェックアウトして、紀伊半島の下側を伊勢神宮の方に
3時間ほど走った那智勝浦にあるステーキ屋さんでランチをとることにした。

そのステーキ屋さんは、地元でも有名なお店で、ランチでは
1500円という安い価格なのだが、熊野牛１００％のハンバーグと
地元でとれたマグロのハーフアンドハーフというメニューが有名だった。

この店は本当にお勧めで、ハンバーグは特に本当に美味しかった。

この値段で、目の前で店主の方が野菜から含めて全てを焼いてくださる。

その時もステーキ屋さんのご主人が非常に愛想が良くて、
目の前の2組の6人の家族連れ、お父さんお母さん子供達に
積極的に話をされていた。

「ここに来る前はどこに泊まられたんですか？」
「今日はどこに観光に行かれるんですか？」

この後には私たち夫婦にも同じように話しかけられると思って
私はそのの方にこんなことを聞こうと思っていた。

「和歌山県には、お盆休みに、そういった方々が
いつも遊びに来られるんですか？」

「昨日のホテルには、プールやサウナで、
そういった方々をたくさん見かけました！」

よし、次に店主に話しかけられたら、この話をしようと思いながら
ふと目の前の若いお父さんに目をやる。

子供が４歳から５歳の小さな女の子のお父様の
半袖のT シャツからは立派な彫り物が覗いていた。

やばい！変なこと言わなくて本当に良かった
私はそそくさとお会計を済ませて車に乗り込んだ。