歯医者の矯正体験 その2
縁あって岡山大学歯学部に入学できた私は
ある時に実習を担当してもらったインストラクターの
先生からある言葉を投げかけられた。
「お前はその歯並びで歯医者になろうなんて大馬鹿野郎だ!」
そして私は思い腰を上げて矯正教室のドアをノックすることになった。
その当時の矯正学教室の中後教授の診断から
私の矯正ライフは始まった。
私の場合、抜歯症例になるらしい。
歯が極端に大きいのでこれは仕方がないと自分でも思った。
しかしどの歯を抜歯するのかの診断で私は地獄を見ることになった。
私の場合、左下は潜っていた犬歯を抜歯する診断となった。
実習でお世話になっていた先輩の先生に相談するために、
今度は口腔外科の教室のドアを私はノックした。
訪ねていった先生が不在で私は顔見知りの研修医の先生に
話しの流れの中で抜歯の相談をすることになった。
結局その研修医の先生が私の抜歯を担当することになった。
抜歯の当日、私は30分で治療は終わると踏んでいた。
しかしなぜか抜歯が終わらない!
麻酔が切れてきて何本も追加した麻酔のカートリッジが
テ-ブルの上に散乱する。
しまいには麻酔を追加しても痛くて痛くて仕方が無い。
多くの友人が見守る中、私は恥ずかしさを通り越して
顔に掛けられた緑の布の下で涙を流しながら泣いてしまった。
それほど痛くて痛くて我慢が出来なかった。
3時間にも及んだ私の抜歯は結局抜歯ができなくて、
後日、口腔外科の講師をしていた別の先生に変わり
何とか抜歯を済ませることが出来た。
生まれて初めて矯正の装置がついた日のことを今でも覚えている。
私の場合、金属のブラケットと言う装置を歯の表側につけたのだが
「矯正治療は虫歯の治療と違って痛くないからね!」と言う
矯正の担当の先生の言葉は嘘であることに翌日の朝気がついた。
痛くてパンの耳が食べられない!
その時は矯正を始めたことを正直後悔した。本当に後悔した。
物を噛む時だけで普通はそうでもなかったのだが、その痛みは3日間続いた。
毎月1回装置の調整をするたびに毎回のように私の歯は物を噛む3日間痛んだ。
ある時はワイヤーが唇に食い込んで夜も眠れないほど痛くなった。
ティッシュペーパーを唇とワイヤーの間に挟むことをそのころ覚えた。