【災害時の口腔ケアが命を守る】~むし歯・歯周病だけじゃない、肺炎予防のための歯の話~
【災害時の口腔ケアが命を守る】~むし歯・歯周病だけじゃない、肺炎予防のための歯の話~
こんにちは。
岡山市北区にある 岡山なかの歯科・矯正歯科クリニックの院長、中野です。
毎年のように日本各地で地震や台風、豪雨などの災害が発生しています。
岡山県は比較的災害が少ない地域と思われがちですが、南海トラフ地震や異常気象による水害など、私たちも決して無関係ではありません。
災害時に気をつけるべきことといえば、「水や食料の確保」「避難経路の確認」などが思い浮かぶかもしれませんが、“お口のケア”について考えたことはありますか?
実は、災害時の口腔ケアの有無が、命を守る鍵になることがあるのです。
■ 災害時になぜ“口腔ケア”が大切なのか?
過去の大きな災害、たとえば阪神・淡路大震災や東日本大震災の避難生活では、避難所で肺炎を発症する高齢者が多く報告されました。
その原因のひとつが、口腔内にたまった汚れや細菌が誤って気道に入ることで起こる「誤嚥性肺炎」です。
避難生活では水が不足し、歯を磨くことも難しくなりがちです。
その結果、細菌が増え、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
口腔ケアは、「むし歯予防」だけではなく、命に関わる病気の予防にも直結する重要な習慣なのです。
■ 特に注意が必要な方とは?
もちろん、災害時の口腔ケアはすべての人にとって大切ですが、特に注意すべきは以下のような方です:
✅ 高齢者の方
✅ 食事中によくむせる方(嚥下障害の疑い)
✅ 過去に肺炎を起こしたことがある方
✅ 入れ歯を使っている方
✅ 唾液の分泌が少ない方(ドライマウス傾向)
これらの方は、災害時に口の中の細菌が肺に入り込んで重篤な肺炎を引き起こす可能性があります。
■ 災害時の正しい口腔ケアの方法
水や歯ブラシが十分に使えない状況でも、できる限り口腔内の衛生を保つ工夫が必要です。
以下に、災害時における現実的な口腔ケアの方法をご紹介します。
① 歯磨き粉を使わない歯みがき
通常のチューブ型歯磨き粉は、水で完全に洗い流さないと口の中が乾燥しやすくなるため、水が不足している災害時にはおすすめできません。
歯ブラシだけに少量の水をつけて磨くようにしましょう。
液体歯磨き(うがい薬タイプ)があれば、代用可能です。
② 少ない水でのうがい法
うがいの水が限られている場合、1回で全部使わず、何回かに分けて少しずつうがいする方が効果的です。
③ 歯ブラシがないときの対処法
清潔なタオルやティッシュで歯の表面をやさしく拭うだけでも、細菌の除去に役立ちます。
液体歯磨きやうがい薬だけでは不十分。機械的な清掃(こすること)が大切です。
■ 入れ歯の方への注意点
避難所などの場では、「人前で入れ歯を外すのが恥ずかしい」「洗う水がない」などの理由で、入れ歯のケアが疎かになりがちです。
しかし、入れ歯の表面にも“プラーク(細菌のかたまり)”が付着します。
以下のような簡易的な方法でも構いませんので、可能な限りケアを行いましょう。
食後、または1日1回は入れ歯を外して洗う
水がない場合は、使い捨ておしぼりやティッシュ、スポンジなどで拭う
食器用洗剤を代用してもOK(洗剤はごく少量で)
■ お口の健康は“命の健康”と直結している
災害時には、栄養の偏りや睡眠不足、ストレスによって体調が崩れやすくなります。
その中で、口からの感染症や肺炎を防ぐためには、いつも以上にお口のケアが重要です。
「水がないから歯磨きできない…」とあきらめるのではなく、
少しの工夫と意識で、健康を守ることができるのです。
■ 災害時の備えとして「口腔ケア用品」も準備を
非常用持ち出し袋の中に、以下のような口腔ケアグッズも加えておくことをおすすめします:
歯ブラシ(使い捨てタイプでもOK)
液体歯みがき/洗口液
ウェットティッシュやおしぼり
入れ歯ケース・洗浄剤
保湿ジェル(ドライマウス予防)
■ まとめ|災害時にも“口から健康を守る”
災害はいつ起こるかわかりません。
そして、避難生活が長引けば長引くほど、「お口のケア」の重要性が増していきます。
私たち岡山なかの歯科・矯正歯科クリニックでは、普段の診療はもちろん、災害時に役立つ知識や対策についても、地域の皆さまにお伝えしていく責任があると考えています。
ぜひこの機会に、ご自宅の防災グッズを見直し、お口の健康を守る備えも進めてくださいね。
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