院長が別の歯科医院の一日院長になる?
早朝5時55分に起きる。
そのまま妻の車で岡山駅に急いで
7時6分の山陽本線で○○駅に向かう。
今日は当院は通常の診療日!
院長の私のみ当院の診療には出ないで
○○駅から数分の後輩の歯科医院へと向かった。
実は岡山大学歯学部同窓会岡山県支部には独特の優れたシステムがある。
それは相互補助のシステム!
例えばある同窓会員が病気や怪我で倒れたら、他の同窓会員が交替で
その歯科医院をバックアップしようと言うシステムだ。
このシステムが出来た時、同窓会の1期生でもまだ40代なので
会員が病気で長期間休む可能性は、まだまだ少ないと思われていた。
それが、先日はある後輩が脳梗塞で倒れ、今回はある後輩が心筋梗塞で倒れた。そして2回とも私に代診の依頼が回ってきた。
同窓会の役をしている以上は、一般の会員の先生より負担を強いられるのは仕方がない。
しかしこの時期、本部の会長の私は同窓会の仕事で、診療室を空けることが多いために、自分の診療室を院長の私が空けてまで、後輩の診療室の手伝いに行くことは、当院の患者様に多大な迷惑を掛けることになる。
そのことを100%受け止めて、私は後輩の診療室へと早朝から向かった。
私は今まで多くの歯科医院の見学に行った経験がある。
しかし他の歯科医院で実際に診療をした経験は開業以来全くない。
色々な意味で私の緊張感はとても大きかった。
その上に私は、院長先生が入院している今であれば
恐らく予約はセーブしているので1日で20名か30名ほどの患者さんを
診療すれば終わると軽く思っていた。
しかし前日に当院に入ったFAXでは歯科医師は私1名の予約であるのだが
ユニットは6台もあり、予約の人数は50名を超えるものであった。
私一人で慣れていない診療室で果たして50名を越える患者さんの
診療をトラブルを抱えることなくできるものであろうか?
岡山の今朝は冷え込む中、悶々としながら診療室へと向かった。
後輩の診療室では多くのスタッフが笑顔で私を迎えてくれた。
簡単に打ち合わせをして、すぐに診療は始まった。
しかし診療のシステムも、使う機械も、使う材料も全く違う。
その上に治療方針の違いにも私はかなり戸惑うことになった。
私の診断は?しかし院長先生の診断は??
ここはいつもの「なかのイズム」は収めて、院長先生ならこうすると言う
診断と診療に私は徹した。
なぜなら今日の患者様はこの歯科医院の院長先生の人柄や治療方針に
魅かれて来院されているからだ。
一日のみの院長がえらそうに能書きを垂れる必要はどこにもない!!
しかしこの歯科医院のスタッフは本当に良く動く!
また院長婦人の気配り、心配りは只者ではない!!
全ての患者様に笑顔で接してパーソナルな対応や言葉賭けを施されている。
この歯科医院の患者さんの多さの秘密の一端が見えた。
最初のうちは慣れないことの連続に神経が磨り減っていた私だが
午後になると以外にこの環境に適応して
一日雇われ院長であるが、なぜか居心地がよくなるのを感じるのであった。
「私が記憶喪失になっても、恐らく歯科治療のことは絶対忘れないでいて
何かの縁でここにたどり着いても歯科医師として元気でやっていっている!」
なぜかそのシーンが瞼の奥にイメージされる。
四万十太郎のように!!
わかるかなー!
わかんねーだろうなー!!