英語幼稚園
木曜日の昨日は
高知から9名のご一行が
当院へわざわざ見学に来院された。
私が大好きな高知のフルーツトマトジュースと
かつおのたたきに舌鼓を打つ。
9名の見学のご一行を十分に案内する間もなく
私と歯科衛生士のTはある幼稚園に車を走らせた。
話は遡るのだが、1ヶ月前に当院に少し変な日本語の電話がかかってきた。
その電話の内容は「当院がある幼稚園の校医となり、その幼稚園で歯の検診を
行って欲しい!」と言うものだった。
電話の声の主は日本在住10年目イギリス出身のMさんだった。
Mさんは岡山で英語教育の幼稚園を経営している。
その幼稚園では他の一般の幼稚園のように校医がいなく
園児は歯の検診も全く受けていないとの事!
「それでは子供が可哀想!」とMさんは岡山の歯科医院に片っ端から
電話をしていたようだった。
歯の検診なんて簡単なもの!
しかし多くの歯科医院が断っていた。
なぜなら1つだけ絶対守らないといけないルールがあるからだ。
そのルールとは?
「その幼稚園の敷地内では英語しかは話してはいけない!」と言うルール!
そのたった一つのルールのために多くの歯科医院と多くの小児科内科の先生方がこの幼稚園での校医の受け入れを断っていた。
そして当院に電話がかかってきた。
私は直ぐその話に飛びついた。
「英語のみ!面白そう!!ぜひ当院に校医をさせてください!」
当院は既に近くの大野幼稚園の校医を十年以上している。
私が校医を始めた10年前から10年もかかったが園児の虫歯は
目に見えて減少していた。
この園児の虫歯の減少は私達の歯科医院のスタッフの頑張りも少しは
功を奏していると自負していた。
「新たな幼稚園で虫歯予防旋風を起こしてやる!」
大きな決意を旨に衛生士Tと共に新たな戦場!英語幼稚園に私達は向かっていった。
教室に入ると英語の張り紙!
園児を引率してくれる先生はもちろん外国人!
ワーッ!思いっきりネイティブ!!
私の気分は既に最高潮!!
「グッモーニン!エブリワン!!」
「オー!ベリ-グー!!!」
中学生レベルの英語でも大きなジェスチャーを付ければ何とかなるものだ!!
3クラスの子供さんを順番に検診する。
年少さんは2歳と3歳児!
泣く子も少なく順調に検診は進んでゆく!
凄い!クラス全員が全くのバージンティース!
虫歯はもちろんゼロだし、虫歯の治療した歯も全くのゼロ!!
真ん中のクラスは4歳と5歳児!2年制の幼稚園の年少さんクラスだ。
このクラスも凄い!クラス全員全くの虫歯ゼロ!!
ここまで検診してきて私はある恐れを抱いていた。
果たしてこの幼稚園の子供達に虫歯は1本でもあるのだろうか?
もちろん全ての園児が虫歯ゼロだったら、それほど素晴らしいことはない!!
しかしもしそうだったら歯科医師の私のこの幼稚園での校医としての
仕事はあるのだろうか?
虫歯はどこかに落ちていないか?
私は必死の形相で園児の虫歯を探すのであった。