マラソンで迷子
日本テレビのディレクターの方から
医院に電話が入る。
「本当に日本テレビの方からですか?」
訝しがるスタッフだが偽物ではない。
実は私は過去何度も日本テレビの
番組の歯科に関する情報提供を行っている。
今回のすぐに調べて論文をFAXする。
いつか番組に私が登場することを夢見て、
今は縁の下の力持ちに徹したい!!
昨日の木曜日、早朝から「そうじゃ吉備時マラソン」に
出場する一部のスタッフと練習をする日だった。
実際のコースの下見をしたいと言うスタッフのために
総社市の体育館を目指して、実際のコースを同じ時間帯で
走ることにした。
参加したスタッフは私を入れて6名。
5キロにエントリーしている2名と
ハーフマラソンにエントリーしている4名。
吉備路歯科さん前のスタート地点から
本番さながら6名が走り出した。
今日参加したスタッフは私以外は5名とも
歯科衛生士のスタッフだった。
衛生士TとUが最初から快調に飛ばし始めた。
情けないことに私はそのスピードに付いてゆけない。
「凄く寒くなってきたから!」
「雨が降って路面が濡れているから!!」
あらゆることを口実にして私は
今回ほとんど練習らしい練習を行っていない。
だから私の心肺機能も足の筋肉も全く若い衛生士の走る
スピードにさえ付いてゆけなかった。
私の後をハーフを走る衛生士Sが追ってくる。
彼女の足取りもすでに重そうだった。
そのかなり後方から5キロ組のIとAの姿が見えていた。
ペースが違いすぎていて、最初からかなりの開きが出ていた。
今回のコースを走った経験があるのは、昨年出場した
私だけであったので、一緒に走り出したのは良かったのだが、
最後の終わりの地点をどうするか?
詳細に相談していなかったことに私はすぐに後悔した。
皆で途中まで仲良く走って、途中の休憩時間に
終わりのことを相談しようと考えていたが甘かった。
こんなに短時間でここまで差がつくとは想像していなかった。
早い2人がかなり前の信号地点で方向を聞いたときに、
「この道をまっすぐに走って坂道を超えて先のコンビニで待っていて!」
と支持を出して、後ろの3名の様子を確認することにした。
衛生士Sはすぐに追いついたので
「先の2名を追って!」と支持を出して
後の2名の状況を見るために私は今来た道を
かなり遡って戻ってみた。
角を曲がり、眺めの良い大きな交差点に出てみても
2名の姿はどこにも無かった。
これはまずい!
2名はどこまで行ったのか?
左に曲がるところをまっすぐ進んでしまったのか?
後の2名を探すべきか?それとも前の3名に追いつくべきか?
しかし前の3名に走って追いつくスピードも体力も今の私には無い!
「出発地点まで戻って車で探そう!!」
私は出発した総社体育館に戻る決心をした。
しかし、そこまで既に20分以上も私たちは走っていた。
戻ることにも20分かかる。
しかし、戻らないとスタッフが数名迷子になり
手遅れになる恐れがある。
私はその場で出発点に戻ることを決意した。
時間との勝負なので、タクシーを探したが
総社の田舎道では10分走っても1台も見つからない。
信号で車をヒッチハイクしようかどうか迷ったが
怪しいカッコで走っている私はどう見ても不審者だ。
何だかんだ言いながら、体育館まで何とか走って戻った。
体育館で後の2名が帰っていないかどうか?
周りにいないかどうか大きな声で
「I○○ー!!A○○ーー!!」と叫ぶも
どこからも返事がない。
車に乗って同じコースを急いで走る。
しかし、コース上誰も見つからない!
10分以上走り回っていると
交差点で、はるか先に見たことのあるジャージを
来た女性を1名発見した。
3番目に走っていた衛生士Sだ。
「院長、迷子になっていました!!」
とりあえず1名のスタッフは無事救出。
後は3名だ。
救出した衛生士Sが車内に置いていた携帯で
5キロ組の2名に連絡を取ると
出発点まで5キロを走り終わり無事戻っていると
聞いてほっとする。
3名の安否は確認できた。
しかし先発組の快調に飛ばしていた2名の
携帯に連絡がつかない。
私が指示したコンビニに、もし2人がいない時は?
凄く不安が募ってきた。
私とSがコンビニに到着すると
TとUが雑誌を読んでいる姿が目に入り
本当に胸を撫で下ろした。
良かった!!
みんな無事だった!!!
自宅に戻り、妻にこの話をすると
「あなたの事前準備が悪い!」と
一言で切り捨てられた。
今日、スタッフに「昨日は大変だったね!」
と声をかけると「院長あんなスピードじゃだめですよ!」
と一言で切り捨てられた。
「そうじゃ吉備路マラソン」本番まであとわずか!
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