渋谷
渋谷駅から乗った山手線が
事故のために、長時間停車!
かなり待って何とか発進をしたのだが
次の恵比寿駅で全く止まってしまった。
15分経過しても、20分経過しても
ビクともしない!
これでは新幹線の時間に間に合わない!!
思い切って恵比寿駅から飛び出して
タクシー乗り場に急ぐ!!
同じような考えを持つ人は多いようで
タクシー乗り場は長蛇の列!!
間に合わない!!
しばらく待ってあきらめて
再び急いで階段を駆け上がると
既に運転は再開をされていた。
急いで次に到着した電車に飛び乗り
クタクタになりながら品川駅に辿り着く!
行動しての後悔より、行動をしない後悔を!!
と心に刻んでいる私だが、じっと耐えて待つ
勇気も必要と思った。
この土曜日曜は、東京で補綴学会、顎咬合学会の
歯科医師対象の大きな学会が開催されていて
行きの飛行機でも帰りの新幹線でも
知り合いの歯科医師の先生から声を掛けられる。
歯科医師の私だが、歯科治療とは
全く関係の無いセミナーに参加するために
渋谷に向かった。
東京では、東京駅周辺、有楽町や品川、
遠い場合は新宿等で歯科医師向けの学会やセミナーが
よく開催される。
しかし、渋谷で開催されるセミナーは意外に少ない!!
2日間の渋谷でのセミナーを受講するために
私は生まれて初めて渋谷のホテルに泊まった。
渋谷の街は、昼も夜も若者で溢れていて
私は渋谷から少し離れた代官山で夕食を取り、
この街ではすることは無いと
早い時間からホテルで休むことにした。
早朝、ドアを「ドンドンドン」と凄い勢いで
ノックされる音で私は文字通りベッドから
飛び上がった。
尋常ではないノックの仕方だった。
部屋の時計を見ると朝の5時過ぎだった!!
私は恐怖を覚えて、無視を決め込むことにした。
変ないざこざには加わりたくない!!
すると、次の瞬間、ノックはベルに変わった。
「ピンポン、ピンポン。ピンポン!!」
凄い勢いだ。
火事??
私、年末に、イタリアのホテルで瞑想をしていて
危うく火事の警報を聞き逃すような体験を
したばかりなので、まずい?と思って
ドアを開けることにした。
まずはドアに付いている小さな窓?から
廊下を覗いて、危険が無いかどうかを探る。
しかし、この小さな窓からは真っ暗な景色しか
見えない!!
思い切ってドアチェーンを掛けて、
ゆっくりとドアを開けてみた。
思わず私は声を上げた。
「ヒッッ!!」
そこには黒人の背の高い男性が
スーツ姿で怖い形相で仁王立ちをしていた。
まずい!!
一瞬でその場の空気が凍りついた。
マフィア映画なら、その瞬間、
私は既にピストルで打たれていた。
ベリーデンジャラス!!!
数秒間の沈黙が過ぎた。
すると、その黒人青年は「ミステイク!」と
捨て台詞を残したまま、立ち去って行った。
単に部屋を間違えたのか?
それても別の意図が合って??
恐怖が背中にじっとりと張り付いたままだった。
私はこの部屋ではもう寝たくないと、
すぐに着替えて部屋を飛び出した。
そのまま、背中の恐怖を振りほどく為に、
早朝の渋谷の街を、あてもなく彷徨い歩いた。
渋谷駅周辺では、早朝から
若者が酒に酔って、警官に連行されていた。
私が今まで見たことも無いようなファッションをした
男性と女性が、24時間営業のラーメン屋さんで
朝の5時にラーメンを食べていた。
マクドナルドには、高校生らしい若い女性の集団が
何をするでもなく、ただひたすらずっと座っていた。
ホームレスの若者が駅前で300円で
雑誌を売っていた。
私の知らない世界がそこに合った。