歯の怪我 外傷
インプラント治療を終えた方が
冗談を言いながら、笑顔で帰られた。
そんな「笑顔があふれる歯科医院」が私の理想だったので、
理想に近づくことをうれしく思いながら、
医院全体を見渡してみると、私の理想とかけ離れている部分は
正直に悲しく思う。
「痛くない」「よく説明する」「待たせない」は
当院の基本中の基本だが、その基本が100%
守られていない。
責任者の私の仕事は何か?と自問自答しながらも
私の悩みは尽きない!!
今日の診療は、外傷の、怪我のお子様が相次いで来院された。
普段は完全予約制で診療を進めている当院だが
今日は受付のスタッフから
「○○小学校から電話で、今教室で転倒して前歯2本を
折ったお子さんが10分後に来院されます!」と何度も連絡が入った。
不思議なもので、歯の怪我、外傷は連鎖反応を起こす。
普段は歯の怪我で急きょ運ばれてくる患者さんなんて
ほとんどいないのだが、なぜか怪我は連鎖反応を起こして
立て続けに来院される。
1人目のお子様は特に大きな問題がなく
養護教諭の先生に、今の現状を説明しているうちにお母様が来院!
説明すると安心された様子で、笑顔でお子様といっしょに帰られた。
しかし2人目のお子様の場合は違っていた。
養護教諭の先生が、大切に牛乳に入れて持参した
前歯2本は粉々に壊れていて、生えたばかりの前歯2本は
深く折れていて、神経が赤く覗いていた。
怪我から30分もしないで来院されたので、丁寧に何度も
創面を洗って、神経を保護する薬をつける。
その上でコンポジットレジンというプラスティックを
今の歯と同じ色合いで継ぎ目が全く分からないように詰めてゆく!
ここは審美歯科が得意の私は、得意な分野ではあるが
治療が終わり鏡をもったお子様の表情で、治療が成功か失敗か
判断されるシビアな治療になる。
歯が大きく折れて神経がのぞいた場合は、歯科医院によれば
すぐに神経を取り除いて、最終は「差し歯」を薦める歯科医院も多い。
「すぐに削る、すぐに神経を取る!!」そんな歯科医院がある。
そう言った嘆きを、私は何度となく養護教諭の先生から聞いている。
しかし自分の子供が、小学生で前歯を折った時に、その先生は
自分の子供の歯の神経を、すぐに取り去り、すぐに歯を大きく削って
差し歯を薦めるのであろうか?
私なら自分の子供にはそのような治療が絶対にしない。
もちろん当院に来られる患者さまにも、自分の子供と同じような治療を進める。
そんな当院の救急の対応が評判を得たのか?
最近では何件もの歯科医院を通り越して、遠方の学校から
怪我で来院されるお子様も多い!
そんなこんなで、怪我は連鎖反応を起こして
もともと私の予約だった患者さまには、大変なご迷惑をおかけする。
そして、最後は、やはり神頼み!!
この子の歯の神経が悪くならないように
手を合わせて祈るしかない!!
あの鏡を見た時の、あの子の笑顔が、曇ることがないように!!