Dr.中野の活動記録
2005-4-15
転医の理由
今日新患で若い女性の患者様が来院された。
来院された主訴は他の歯科医院で受けていた治療を当院で続けて欲しいとのこと。
事情があるのだろうと「前の歯科医院では何か不都合があったのですか?」と聞くと
「痛みや不都合は全く無かった。でも私には合わなかった!」と言われる。
「差し支えなければ前の歯科医院で心配された点や困った所を教えてもらえますか?」
と聞くと
「いつまでも何回通っても治療が一向に進まない」
「我慢できなくなって、友人の紹介でここがいいと聞いて来ました」
と言われる。
レントゲンで診査をするとあちらこちらの歯が根の治療が終わった段階で
放置されていた。
根の治療は大変きちんと行なわれていた。
たぶん前の先生は歯の根の治療を先に進めてからまとめて
歯をかぶせる治療に進みたかったのだと思われたが
残念なことにその思いは患者様には届いていなかった。
プラスチックの仮歯でも入れてあげれば患者様は納得されたのだろうが
残念なことに仮歯は保険では算定できない。
(無料で作ってあげたら良かったのに!)
しかし根の治療をレントゲンで見ると、私も同業者であるので
前の先生がいかにまじめにきちんと根の治療をしていたのかよくわかる。
いい先生なのにコミュニケーションが不足したんだろうな?きっと
歯の根の治療は保険治療において不採算部門のひとつである。
前歯の根の治療は途中の根管治療にいたっては11点の点数!
1点10円であるので患者さんの負担は3割で30円、私たちの収入は110円!
アメリカや先進国の治療費と比較してあまりにも違いがありすぎる。
勉強すればするほど技術を学べば学ぶほど医院経営を圧迫する。
挙句の果てに転医!では、まじめな先生ほど苦労するのが
今の保険治療なのだろうか?
保険の範囲で、患者様への説明の時間もきちんと取り、スタッフにも十分なお給料を出し
設備もいつも再投資をして最新の機器を有して、最高の材料を使い
最高のレベルの治療を提供することは、今の日本ではやはり限界があるのだろうか?