哀愁の屋久島 1
年内の診療が全て終わり
今年の年末年始の長期休暇が始まった。
ここだけの話、私は今年の年末年始を
長男と2人で、インドで過ごす予定だった。
今回の旅の目玉は、新年をペナレスで過ごし、
ガンジス川に身を沈めて、新年を祝うはずだった。
仏陀が悟りを開いた菩提樹の根元で、私も瞑想をして、
煩悩の多い私も、何か悟りを得たい、そう思っていた。
インド入国のビザを申請する前に、あのテロが起きた。
外国人を狙ったあの悲惨なテロで、私と長男のインド行きは
家族全体の強固な反対にあい、家族の気持ちを考えて
私はインド行きをあきらめた。
(インド行きが流れたのは、実はこれで2度目である。
お腹の弱い私には、来るなと言う天からのメッセージか?)
年末年始のロングのフライトのために購入した10数冊の
本が寂しくたたずんでいた。
今まで私が行っていなくて、テロの危険性がなく
子供と二人で、達成感が得られたり、成長できる旅行先はないか?
そんな私に「屋久島」の文字が、天から降りてきた。
「屋久島」鹿児島の南に浮かぶ島で、今では世界遺産として多くの観光客が押し寄せる島。
私が尊敬してやまない、ワタミの渡邉美樹社長が別荘を建てて、
毎月、忙しいスケジュールの中、自分を取り戻すために
毎月1度は時間を作って訪れる島。
彼は私にこう言った。
「人生は2つしかない!屋久島に行く人生と、屋久島に行かない人生!!」
屋久島に行こう!!
ガンジス川も菩提樹の木も夢に終わったが、
樹齢7000年とも言われる縄文杉の根元で瞑想をすると
何かが私に降りてくるだろうか?
淡い期待を胸に持ち、私はJTBへと向かった。
(基本的に私は個人旅行を愛してやまないが
今回は年末で自分で手配する時間もなく、JTBさんにお世話になった)
JTBでは後輩の歯科医師とばったり出会った。
彼は年末年始のお休みに家族でハワイに行くと話した。
私も胸を張って、子供と二人で屋久島に行くと話した。
屋久島に関する本を2冊買って、生まれて初めて
トレッキングシューズと言う山登り用の靴も購入した。
ショップの人に「この靴なら富士山登山も大丈夫です!」
なんておだてられて、その気になっている自分がいた。
出発の2日前に、JTBの方から
「冬山登山の準備をして下さい!」と電話が入ったらしいが
屋久島は鹿児島より、南の島なので
冬山登山とは、大げさなと、今回の登山を少し馬鹿にしていた
私がいた。
親友に屋久島の話をすると、たまたま今年のGWに息子さんと2人で
屋久島に行って、縄文杉まで登山したと話をしてくれた。
「楽勝よ!お前なんて24時間で100キロ歩いたんだろ?」
と励ましてくれた。
だから登山の準備は、ガイドブックと靴を買ったくらいだった。