入れ歯の話 テレビファイナル
昼も夜も会議が続き
ブログを書き込む時間さえない。
そんな忙しさに反比例して
私の体重はドンドン増える。
忙しさのストレスから私の体は、甘いもの、
よりカロリーの高いものを強力に欲する。
そして太る!!
今から秋なのにどうする、この私??
昨年の10月から始まったRSKテレビ「イブニングDonDon」が
今日で12回目を迎えた。
1年の話だったので、今日でテレビは最後の出番となる。
朝早くからスーツやネクタイなど慎重に選ぶ。
今日の歯科のお題は「入れ歯で元気に!」
全力でテレビに立ち向かいながら、入れ歯の話なので、ふだんよりゆっくりと話す。
アナ「先生は、入れ歯も多く作られると思いますが、
入れ歯に関して、何か興味深い体験をされたことがあるようですね!」
歯医者:「そうなんです。私も歯科医師になってから20年以上経ちますから、
色々な経験をさせてもらっていますが、入れ歯に関しては興味深い経験がいくつかあります。」
アナ「どんな経験なんですか?」
歯医者:「はい、ある時に私は、ある寝たきりの方のお宅に伺って、
入れ歯を新しく作ったことがあるんです。」
アナ「先生、最近では寝たきりの方の自宅に、医者さんが往診してくれるらしいですね!」
歯医者:「そうなんです。そしてある寝たきりの方の入れ歯を作ることになったんです。
それが最初、ご自宅に訪問して私は驚きました。」
アナ「どうしたんですか?」
歯医者:「その方は高齢の女性の方でしたが、カーテンを閉め切った部屋の
ベッドの上に寝たきりで私の声かけにもほとんど反応が無かったんです。」
アナ「かなりの高齢の方だったんですか?」
歯医者:「いやそうでもありませんでした。
寝たきりでほとんど反応のない方でしたが、その時の入れ歯が全く合っていなかったんです。」
アナ「はい!」
歯医者:「それで何回か往診に行って、1ヶ月後に新しい上下の総入れ歯が出来ました。」
アナ「はい!」
歯医者:「入れ歯は最初から割とピタッと合いましたが、
すごく驚いたのはその次の週のことでした。」
アナ「先生、何があったんですか?」
歯医者:「はい新しく入れ歯を入れた次の週に、私が往診でご自宅に伺うと、そこには家族の方と杖をつきながら庭を歩いていその方の姿があったんです。」
アナ「先生、寝たきりの方が入れ歯を入れることで、杖を付きながらですが、
歩けるようになったんですか?」
歯医者:「そうなんです!」
アナ「先生、何が良かったんですか?」
歯医者:「おそらく噛み合わせだと思います。」
アナ「噛み合わせですか?」
歯医者:「はい、噛み合わせです。
入れ歯は単にモノを食べるだけのためだけの道具ではありません。
噛み合わせを決めて、歩くことや正しい姿勢を採ることにも
重要な役割をはたしているんです。」
最後のテレビの話にふさわしい話だと私は思った。
私が20年間歯医者をしていて、たっか1回だけ
入れ歯を作っただけで、寝たきりの方が歩き出した経験をお話した。
あの時のことは今でも鮮明に覚えている。
私が新しい入れ歯を嵌めた瞬間、その人の
目がクッと大きく開いたことを、私は見逃さなかった。
入れ歯の話で番組の後も、スタジオ内は盛り上がった。
「入れ歯っていう名前がよくないよね!おしゃれじゃない。」
「カツラをヘアピースと呼ぶように、入れ歯の名前を変えた方がいい。」
「チェンジティースは?このコーナーの名前と一緒で
ティースピースはどう??」
「ティースピースいいよね!!」
そして私はスタッフの皆さんにねぎらわれて最後のスタジオを
後にした。
スタジオを出たところで、私は番組ディレクターの方に
声をかけられた。 (続)