17
午前中に書き仕事を終わらせる。
ラジオの原稿もメルマガの原稿も
雑誌の原稿も全て原稿料や出演料を頂く上には
プロとして恥ずかしい仕事は出来ない。
集中して集中して仕事はかなりはかどった。
午後になり、卵ご飯と納豆と豆腐のシンプルなランチを終わらせて
おもむろにカバンを持ち、スーツに着替えて私は
岡山大学歯学部付属病院へと向かった。
私は2008年1月31日の今日付けで
岡山大学医学部歯学部研修登録医として大学病院での見学と診療の
許可を得ることができたのだ。
大学へは毎月欠かさず顔を出していた私だが診療室に顔を出すのは
計算すると何と17年ぶりとなるのであった。
私は大学を退局後、研究生や研修医としての席を大学に置かなかったので
診療室に出入りすることが出来なかったのだ。
17年ぶりに診療室に入ることに私は軽い緊張感を覚えていた。
なぜならここ数年は大学に私の顔見知りもドンドン少なくなっていて、出身の医局に顔を出した時でさえ、若い医局員の先生に、「どんな御用ですか?」と
さも私が生命保険を売り込みに来た営業マンのような対応をされたことあった。
医局院の先生からの冷たい対応を受けるのが心配な私は取りあえず、近所のケーキ屋さん「白十字」に出向き、シュークリームとワッフルとエクレアを大量に購入。
姑息な、お土産作戦に出た。
歯学部の医局に行き、白衣を借りて、診療室に降りる。
17年ぶりの2診、第2診療室は、以前と変わらない部分と全く変化した部分があった。
補綴科の1番ユニットは忘れもしない、当時お世話になっていた山下教授のユニット。
この場所で卒業1年目の私達医局員は何度も何度も失敗を重ね、患者さんに分からないようにユニットの下で山下先生から膝を蹴られたものだ。
懐かしさがこみ上げてくる。顔見知りの先生がいると近くに行き
「今日から研修登録医となりました中野です。初心に帰り一生懸命勉強しますので與t路しくお願いします」と何度も何度も挨拶した。
準教授の先生のインプラントの上部構造の印象や、第3診療室でのインプラントのオペの見学、臨床講師の鈴木先生のインプラントの講義と半日大学でインプラント漬けとなった。
私が在籍していた頃と比較して本当に大学でもインプラントの症例が増えるのを
実感すると共に、私は大学の先生が17年ぶりの私を本当に暖かく迎え入れてくれたことに強く感謝の気持ちを持った。
特に技工室のメンバーは20年前と全く変わっていなく、私はタイプスリップしたような感覚さえ覚えた。
17年ぶりの診療室は、私の予想を超えて
はるかに刺激に溢れたところだった