歯医者の敬語
仕事が終わり、疲れて自宅に上がる。
時間は午後8時を回っている。
その瞬間、突然鳴リ始めた自宅の電話!
疲れた体を振り絞って電話に出てみると、
いきなり始まる京都のワンルームマンションのセールストーク!
こちらの都合など聞く訳が無い!!
何もしゃべらないで向こうが疲れるのを待っていると
今度は上司が出てきて一方的にしゃべる。
この売り方でいったいマンションが売れるのか?
一日の疲れがどっと出てくる。
今週いよいよ12月に入り、当院も12月26日のラストの診療日を迎えるまで
1年の締めくくりをしないといけない。
そのために私がスタッフに月曜の朝礼で話をしたのが
「スタッフ間で必ず敬語を使うこと!診療室内で私語と笑い声は絶対控えること!!」
私があえて忙しい12月にこの話をした理由は、当院が完全に出来ていないからだ。
私語と笑い声が医療の場面で禁忌なことは当たり前だが、私は診療室内での敬語にこだわる。
それには大きな理由がある。
私は歯科医院での仕事を完全なチーム医療だと思っている。
そのチームには身分の上下も、資格により上下も無い。
皆全て同じ立場、平等なのである。
歯科医師が歯科衛生士より偉いこともなければ、歯科衛生士が歯科助手より
偉いこともない!皆平等なスタッフなのだ。
そのことを表すために当院のユニフォームは職種に関係なく1種類。
またスタッフ皆がそれぞれが自分に与えられた仕事を自ら喜んで
することに敬意を表して、院長の私はスタッフにも、もちろん敬語を使う。
【○○さん、何をお願いします。】
【カルテを持ってきてもらえますか?】
私がこの医療の世界に入って、凄く違和感を感じた点が2点ある。
1点が、特に外科系の医師の横柄さ!えらそうな態度だ。
大学時代、アルバイトで勤務した歯科を併設した某外科病院では
私よりわずかに10歳ほど年上の院長先生が製薬会社の人に
凄くえらそうな態度を取っていて驚いた。
2点目が、自分の医院のスタッフを「○○ちゃん」と呼ぶこと。
私は勤務医時代にアルバイトではなくて見学兼お手伝いで
多くの歯科医院を見学した。
腕は優れた歯科医師の先生も多かったが、
自分の歯科医院の衛生士を「うちの女の子が。。。」と呼ぶことと、
診療中でもスタッフを呼ぶときに「○○ちゃん!」と
呼ぶことに、私はいつまでも違和感が拭えなかった。
そのために例え内輪のスタッフにたいしても
外部の歯科技工士さんや歯科材料店の営業の方に対しても、
私は敬意を持って敬語で接したいと思っている。
また当院は全日空や高級ホテルのサービスを患者様に提供したいと考えている。
コンビニのサービスではない。
コンビニのレジのアルバイト2名がお互いにため口で話していても私は何も感じない。
期待していないからだ。
しかし全日空の客室乗務員の方や、リッツカールトンホテルのフロントの方が
もしお互いにため口でチャラチャラと話をしていたら、私は大きな幻滅を感じるだろう。
(そんなことは決してないと思われるが!)
敬語が使えないので緊張感も続かず、それが引いてはミスに繋がる。
こんな悪循環は絶対いやなのだ。
先日のカシータの高橋オーナーはタクシー業界の事例を挙げて
興味深い話をされた。
タクシーの運転手さんのマナーを徹底させるコツは?
それはタクシー会社のトップが運転手さんに毎日のように
何度も何度も口うるさく指摘をしながら指示を出し続けること!
あけらめないで毎日続けること!
できるようになるまで続けること!!
私は当院のスタッフが、診療室内でお互いに必ず敬語を使うようになるまで、決してあきらめない。