Dr.中野の活動記録
2005-2-1
歯医者の気配り
40前から私の髪には白いものがぽつりぽつりと混じり始めた。
頭部、それもサイドの髪を裏返すと真っ白の毛が沢山現れて
思わず見てはいけないものを見てしまったと目をそむけるありさまだ。
急速に加速する私の頭部白髪化には、通常の市販の白髪染めでは
全然追いつかなくて自ずからプロの力に頼るしかない。
私の頭のケアをお願いしている某散髪屋のマスターは一見怖そうなおっさんに見えるも
実は心優しい人で、テクニックにもハートにも私は充分満足している。
先日私はそこでカラーリング、いや白髪染めを受けていた。
私の要求は厳しく白髪を明るく染めた上に、黒い髪は少しだけ茶髪に軽く仕上げたい。
白髪を真っ黒に単に染めればいいものを軽い茶髪にもまだまだ憧れる年代なのだ。
2時間のカラーリング、いや白髪染めが終わり
私は少し軽くなった頭とサイドの白いものが無い事を確認して帰宅した。
その日は私の子供の誕生日で私は帰宅してすぐに子供と家族に
誕生日のスペシャルディナーを作り始めた。
しばらくして玄関のチャイムが鳴った。
休日の夜に急患か?と料理をしていた私の代わりに妻が様子を見に行った。
「怖い人がとっても怖い顔で外に立っている、何かとても怒っているみたい!!」
当院の歯の治療で何かトラブルか?これは一大事と
料理を作る手を休めて私が玄関に出ることになった。
そこには先ほどまで私の白髪染めをしていた某散髪屋のマスターが寒い中立っていた。
そしてその手にはしっかりと私のコートが握られていた。
私は白髪を染めたので頭と体も軽くなったと思っていたのだが
何と自分のコートを散髪屋さんに忘れてしまっていたのだ。
わざわざ忘れ物を自宅まで届けてくれたことに驚いていると
白い箱をすっと渡された。
「誕生日と聞いたのでケーキはあるとは思いましたが良かったらどうぞ!」
箱には誕生日のケーキが入っていた。
私が白髪染めの最中に今日は子供の誕生日と言った一言を聞いていて
営業が終わり、わざわざケーキ屋さんでケーキを買った上で
忘れ物のコートを自宅まで届けてくれた。
ここまでの気配りはサービスの域を超えている。
本人がもともと持って生まれた資質なのだろう。
歯医者にも忘れ物は結構ある。
誰の忘れ物かもしわかっても、私は今まで一度も患者さんの自宅まで
忘れ物を届けた事はない。
患者さんやお子さんの誕生日は保険証で簡単に把握できるのに
お誕生ケーキやバースディプレゼントをきちんと贈った事など一度もない。
寒い休日の夜、私達家族の心はとても温まったのであった!!