歯科医師の父親の歯
コロナの感染者数がいよいよ!
とにかく、クリニックにコロナを入れない!
クリニックからコロナを出さない!!
出来る感染対策は全て行うつもりで!!!
今日の午前中はオールオンフォーと言う
4本のインプラントで12本の仮の歯を即時で
装着する治療に私は汗を掻く!
オペが無事に終わった私に副院長が声を掛けた。
「事務長が当日予約で来られました!」
そう言って事務長のレントゲン写真を
私に見せてくれた。
事務長は86歳になる私の父親である。
私が数ある職業の中から歯科医師を
選んだのは父の歯の影響が少なからずある。
今でも覚えている私が中学生の当時に
ふと耳にした父と母の会話!
若い頃から歯周病がひどかった父は
若くして7本~8本の歯を失っていた。
当時に通っていた歯科医院で
高額の歯の治療費の見積もりが出たらしい。
今ではない、今から45年前の時代の話である。
当時の父の歯の治療費は当時の車一台分位の
費用が掛かったらしい。
150万円~200万円程度だろうか?
母の「そんなお金のことは悩まないで
しっかりと治療を受けたら!」と言う
太っ腹な言葉を耳にしたような記憶がある。
私が歯科医師になって、父親の歯の治療は
自ずから私の当番となった。
当時の父は部分入れ歯を2つ入れていた。
入れ歯の針金は金で出来ていて、
私は歯科医師になって初めて
金で出来た入れ歯を見た。
私は父親から金の入れ歯を外して
インプラントを入れた。
それから30年が経過した。
30年前はわずか3本だったインプラントは
30年を経過して今では9本までに増えていた。
しかし、インプラント治療のお陰で
私の86歳の父親は入れ歯とは無縁の生活をしている。
もちろん母親も入れ歯のお世話にはなっていない。
数年前に母の奥歯が歯根破折を起こして
抜歯しないといけなくなった時に
「インプラントだけはしたくない!」と
頑なにインプイラントを拒否して
ブリッジにしたのはご愛敬である。
しかし、これだけは胸を張って言えるのだが
私が歯科医師になったために
私の父と母は高齢になっても
入れ歯とは無縁で食べたいものをいつでも
元気で食べる生活を送っている。
この年齢になっても両親に正直に
感謝の気持ちを伝えることが出来ない
親不孝者の私が、唯一親孝行が出来ていると
感じる瞬間である。