プアゾンの香り
なぜか私に25万円する春画全集の案内が届く。
歯医者皆に送っているのか?
それとも私だけに送っているのか?
どちらにしても診療中にふと手が空いたからといって
あの封筒を開けるんでなかった!
目がチカチカする!!
今日の診療中、ある患者様が懐かしい香りを漂わせて
診療に見えられた。
その香りとは一斉を風靡した「プアゾン」
クリスチャンディオールの「プアゾン」は、私がまだ歯学部の学生だった
20数年前に発売され、その毒と言うネーミングと、あの完成された香りと、
バブルが崩壊する数年前の時代背景にマッチして爆発的に売れた。
私が今までの人生の中で、たった一度だけ香水なるものを買って
女性にプレゼントをしたのが、この「プアゾン」だった。
20数年前、私は二十歳そこそこの歯学部の学生であった。
その頃はクリスマスと言えば高級フレンチレストランは予約で一杯!
東京や大阪では高いシティホテルが満室になるとニュースで取り上げられたものだ。
学生だった私は、幸か不幸かバブル時代を直接経験することは無かった。
しかし、あの頃始めてホテルのフレンチレストランで、「フォアグラのテリーヌ」なるものをと食べて「まずいね!」なんてコメントしたことが昨日のように鮮明に蘇る。
「ジュリアナ東京」に憧れて「絶対行きたい!」と憧れるうちに
ジュリアナはつぶれてしまった。
「ワンレン、ボディコン」と言う言葉がなぜか懐かしく蘇る。
人が青春と呼ぶ時代が私にとっては、あの20歳そこそこの時であったのだろうか?
金は無かったが、時間は有り余るくらいにあった。
20歳を過ぎ、オールナイトでの駅前のハンバーガーショップでのアルバイトが
体力的にきつくなり、人並みに家庭教師を始めたのもその頃だ。
本は読まないが映画は好きで土曜の夜は深夜映画をよく見に出かけたものだ。
「プアゾン」の香り!
あの頃は良かった!なんて後悔する気はさらさらないが
あの頃20歳そこそこの私は40歳以上の中年男性は
分別もある完全なる大人だと認識していた。
私は果たして人間的に成長しているのか?
それとも!!
一つだけ間違いないこと。
それは私がプアゾンの香りが大好きだということ!!