歯医者のトイレ その1
雑誌「日経レストラン」の中で、
「日経レストラントイレグランプリ」と言う
記事が紹介されていた。
レストランを利用するお客様を対象に行ったアンケート調査で、
トイレの印象がいいとお店のイメージが上がると答えた方は99%以上。
逆にトイレに悪い印象を持つと、9割以上の方が
利用したくないと回答していた。
当院では、14年前の歯科医院オープン時に、
患者様用の待合室のトイレを和式にするか洋式にするかで
私は大変迷った。
当院の屋根の形状は丸いドーム型のガリバニウム製で、
建物のイメージからすると、やはり洋式トイレだ。
しかし当院の立地は古い住宅地、近くにはグループホームもあり、
高齢者の方が多く住まれている地域性を考慮しないといけない。
便座クリーナーや便座シートを置くよりも、
便座に直接肌がふれない方がいいという理由で、
最終的には和式トイレに決定した。
しかし、これが大誤算だった。
私の読みはいつもいい加減で、インフレが来ると思っていたら
デフレが来たり、円安と踏んでいると円高となったり、
自分で言うのも何だが全く当てにならない。
この時のトイレの読みも完全に外してしまった。
案の定人気がない、意外に年輩の方にも、ひざを曲げるのがつらい等で
人気がない。
1年に1度の、医院のアンケート調査では、毎回のように
待合室のトイレに関するクレームが多く出ることになってしまった。
開業して数年経過すると、レストランなど外食産業の豪華なトイレ、
奇抜なトイレがマスコミに紹介されるようになっていた。
ゴールドの便座を持つトイレが紹介されたり、
眺めのよいデザイナーズトイレが紹介されていた。
私自身、有名なトイレはなるべく覗くようにすることを心掛けていた。
岡山大学歯学部3年生の時に、オールデンタルと言う
全国の歯学部、歯科大学が集まるスポーツ大会が東京で開催された。
その時でも私はわざわざ銀座にあったTOTOのショールームに赴き、
当時は出始めで大変珍しかった「ウォシュレット」を体験した。
使い方がわからなかった私は、おもむろに便座を覗き込み、
顔から体中に、例のあのしぶきを受けてしまうのであった。
20歳の夏!銀座での熱い思い出である。
ビショビショの服を着たまま、生まれて初めて
銀座のスクランブル交差点を渡った
私は浜田省吾の歌を口ぶさむのであった。