スイスでのトラブル
チューリッヒの街は
都会で観光客も多いために
旧市街にはレストランもバーも
沢山ある。
どのバーにもお客さんが一杯で
皆話をしながら楽しそうに飲んでいた。
私たち5人のグループは
表通りに面したあるバーに入った。
私はそこで体に何か異常なものを感じた。
周りを見渡すと、普通のバーに見えるのだが
証明と音楽がなぜかエロチックに感じた。
そして私が一番驚いたのは
多くのお客さんが男性しかいないことだ。
「何かおかしいですよ!ここ男性客しかいない!!」
ワインをボトルで頼んでした私たちは
「出ましょう!」とすぐに立ち上がり店を後にした。
次のお店で聞くとやはり私の感は当たっていた。
そのお店はゲイが集まる男性の出会いの
バーだったらしい!
そんなお店に日本人の男性5名で入ってしまった。
そのまま調子よく飲んでいたらどうなったか?を
想像すると怖いものがある。
トラブルにならなくて本当に良かったと
胸をなでおろした。
3日目のコースが終わり、ほとんどの先生方は
翌日の飛行機でヨーロッパのどこかの
国を経由して日本に帰国された。
GWの後半に入るのでヨーロッパで少しゆっくりとされると思っていたら
多くの先生はチューリッヒコースの3日前からジュネーブで
開催されていたUTIのシンポジウムにも参加されていたので、
そろそろ日本に帰って、GWの後半戦は家族とゆっくり過ごすと言われた。
私はポルトガルのリスボンに移動してマロークリニックを
見学する予定だったので、後1日半チューリッヒに滞在する
ことにしていた。
コースが終わった次の日は5月1日メーデーだった。
「チューリッヒ大学か、他のチューリッヒの歯科クリニックの
見学可能なところを探してください!」
色んな人にお願いした結果、メーデーは
どこの歯科医院もお店もほとんどが閉まるのでダメでしたと
言われ、仕方なく1日観光をすることにした。
5月1日の夜にホテルに帰ろうと一人で
中央駅のトラムの乗り場に行くと
向こうに見覚えのある日本人の顔があり
私はそこに行き、声をかけた。
「日本に帰られたんじゃなかったんですか?」
「いえ、私は今日はオーストリアまで電車で遊びに
行ってきました。」
横の女性は妹さんで歯科衛生士をされていると聞いた。
ヨーロッパのバスやトラムや、電車もそうだが
入口や出口がなく、切符を通す機械もない。
自己責任で切符を買って、自己責任で行動するのが
原則となるのだ。
しかし、時々急な検札があって、その場で切符が
ない場合は高額なペナルティを課せられるらしい。
「さっき駅の券売機で切符を買うふりだけした人を見ました!」
「そうでしょうね!無賃乗車けっこうあるんでしょうね!」
「あっ、降りるの次ですよね!!」私は答えた。
その瞬間、まさにそのタイミングで私たちの前に2名の男性が現れて
「切符を見せなさい!」と言った。
馬鹿にするな!私たち真面目な日本人だ。
いかに物価が高いからといって無賃乗車など
社会のルールを守るようなことは決してしていない!
しかし、私と女性の切符はもちろん問題なかったのだが
顔見知りの先生の切符に問題が見つかった。
外国の券売機は英語やドイツ語の表記なので
どうも間違ってショートタイプの券を買っていたらしい。
「次で降りなさい!」
私達3名は次で降ろされた。
「どうすればいんですか?」
「100スイスフランの罰金を支払いなさい!」
「えっ!100スイスフラン?」日本円にすると
13000円程度の罰金となる。
ここで交渉人の私の出番となった。
「私たちは日本の歯科医師でチューリッヒ大学で
勉強をしています。仕事でチューリッヒに来ていて
私たちはスイス、チューリッヒが大好きです。」
「今回は切符を買うときの単純なミスです。
わざと無賃乗車をしたのではないことは
ご理解頂けると思います、許してもらえませんか?」
私の交渉が効いたのかどうかは定かではないが
普通は100スイスフランの罰金を支払うところを
特別に8スイスフラン、日本円で1000円程度の
新しい1日切符を買えば見逃すと言ってもらった。
私たち3名は小銭のコインをかき集めて
一日切符を買って、お役御免となった。
海外では切符の買い方にはご用心!!