定期健診で来院された
４歳の男の子に、大きな声で
「おじさん！！」と呼ばれる。

４６歳の私は、立派なおじさんであるのだが
なぜか心がざわつく自分がいる。

「先生！とか、歯医者のお兄さんて
何とか呼べないかな？」

木曜日の午前中、バタバタと打ち合わせをこなして、
急いで岡山駅へと向かう！

福山市で開催されるあるイベントの講師を
頼まれていたからだ。

ここ数週間、私は自分の体調の維持管理に
凄く気を遣っていた。

講演会の講師の私が、講演会当日インフルエンザに
なった日には、関係各所に多大なる迷惑を掛けしてしまうからだ。

特に今回、私は、福山市歯科医師会と広島県教育委員会との
合同の講演会の講師として指名を受けた。

私が急に穴をあけると、多くの人の

立場を危うくしかねない！

インフルエンザだけは避けなければ！と思いながら
医療業種であるのだが、優先的に決してワクチンを
打ってはもらえない歯医者の私は、
手洗いとうがいを徹底させるしかなかった！

今回の福山市での講演会の対象者は
養護教諭の先生と保育士等の保育所の職員の方。

私に依頼があった話の内容は「子供の健康について！」
歯医者から見た今の子供の現況について話してほしいと
言われた。

話をするのはお安いご用だが、私は今まで歯科医師の先生や
歯科衛生士等の歯科医療従事者の方を前にしては
何度もお話をさせてもらったことはあるのだが
一般の方を前に話をするのは初めてに近かった。

「いつも先生が、テレビで話をしているように、
一般の方にわかりやすく、歯科から見た体の
健康の話をして下さい！」

うーーん！そのわかりやすくが

一番難しい！！

私は話の内容の裏付けを取ろうと、多くの先生にお願いして
様々な資料を集めた。

エビデンス（証拠）が無ければいけないと、
論文や専門誌の記事を集めていった。

しかし！しかし！！

それでなくても、私の話は、まじめ過ぎて、硬すぎて、
つまらない！とよく言われる。

こんな堅苦しい内容を、パソコンを使って会場を
暗くしてお話するのは、凄く睡眠を誘いそうで
とても危険な匂いがする。

なるべく、メリハリを付けて、会場の明かりは
落とさないで、パワーポイントの使用は最小限に留めよう！！

前日の夜に一人予行を行うと、２時間の講演の予行が
深夜まで続いて３時間もかかってしまった。

うーーーーーん！！

私は今回の講演を、いつも私が歯科衛生士学校でやっている
３分割法と、ムービーを取り入れる手法で行った。

人間の緊張が続く時間は３０分程度である。
１２０分、ずっと緊張が続く人なんて普通はいない！

１２０分を大きく分けて４分割して
なるべく話の内容も、使うツールも変えて
特に後半の部分はなるべく参加型！

誰一人寝させないように、全員が参加して
体を動かしながら、なお且つ楽しめるように配慮した。

私は岡山からストレッチプロと言う
大きな健康器具のような道具を持参した。

私のスーツケースに入りきらなかった
ストレッチプロを両手に抱えたまま
私は新幹線に乗車した。

「目の前の方に、喜んで頂ける話がしたい！！」

でも私は話が決して上手では無い！

ピン芸人の話し方から学ぼうと
深夜までお笑いのＤＶＤで勉強する。

話し方の本を読んで、目の前の方に
自分の考えを伝えるポイントを学ぶ！！

このポイントで笑いを入れよう！
ここでは爆笑だな！！

綿密に練り上げられた映画のシナリオのような
私の講演会の台本が、やっと前日に仕上がった。

これで会場は爆笑間違いない！！

講演会当日、会場の硬い雰囲気をほぐそうと
私は自己紹介のアイスブレイクから始めた。

私の綿密なシナリオでは、ここで小さな笑いが？

起きない！！

ではこのフレーズでドーンと大爆笑が？？

起きない！！！

会場はかなり暑かったが、

段々と私の汗は

冷や汗へと変わっていった！！

岡山の歯医者
「なかの歯科・矯正歯科クリニック」 院長中野 浩輔

• 昭和62年3月 岡山大学歯学部 卒業
• 昭和62年4月 岡山大学歯学部第一補綴科 研修医
• 昭和63年4月 岡山大学歯学部第一補綴科 文部教官助手
• 平成4年4月 「なかの歯科クリニック」を開設

当院は、岡山市北区矢坂東町での開院当初から3つのスローガン「待たせない」「痛くしない」「よく説明する」を掲げた歯医者作りをしています。