バージュアルアラブへ
ドバイの2日目の計画は完璧だった。
まずは初めてのドバイをよく知るために、
ビッグバスに乗る。
ドバイではビッグバスと言うロンドンの会社が、観光ルートのバスを2路線運行している。
タクシーで移動するのは一人では勿体無いので、このビッグバスを有効に活用することにした。
ワーフィーと言うエジプト調の建物の前からこのビッグバスは出発している
運航開始の9時の30分前より、私はスタンバイして待っていた。
しかし朝の8時半なのに本当に暑い!30分も外にいると体力の消耗をまざまざと感じる。
まずは旧市街のレッドコース。9時に出発した2階建てのバスの最前列に陣取った私は90分でほぼドバイの旧市街の様子は理解した。
10時半にワーフィーに戻り、ブルーコースに乗り換えて、ジュメイラビーチへ向かう。
有名なヨットの帆のような形の7つ星のホテル「バージュアルアラブ」が見えてくると、バスの乗客はいきなりヒートアップ!!写真撮影大会とバスの中はいきなり変わった。
しかしこのバスに日本人の姿はなかった。欧米人と中国人のみ!日本人はドバイにいないのか?不思議に思う。
世界一の人口スキー場を有する巨大モール「モールオブ ジ エミレーツ」でバスを降りて買物をしようと思うが、最近の私は物欲を捨てようと思っているので、グッチのショップに入っても、ヴィトンのショップに入っても、あまり心がときめかない。
しかし観光のために、財布とカメラと携帯を、私はRSK山陽放送からもらったアレスケ君の紙バッグに入れていた。
ボロボロになった紙バッグなので、いかに「みっともない生き方」がしたい私でも、少しその格好は気にしていた。
紙バッグを持って観光をしているアジア人ってなんだか怪しい!!
ドバイではブランドショップでも、ディスカウントは出来ると何かの本で読んだ事がある。
グッチで丁度よい大きさの、肩にかけるバッグを見つけた。
ショップの表には「スペシャルディスカント」と書かれていた。
グッチの定員さんに「これディスカウントして!」と英語でしゃべると露骨に嫌な顔をされた。
そして買い物はあきらめた。
一度ホテルに戻り、身支度を済ませて、私はあの7つ星ホテル「バージュアルアラブ」へ向かった。
宿泊するのではない!スパに行くのだ。
このホテルは海上に建設されていて、ホテルに行くには1本の道路しかない。
このセキュリティは厳重で、宿泊者とレストラン等の事前の予約者しかホテルに入る事は許されない。
そのため、私はこのホテルのスパを日本からメールで予約していたのだった。
この予約確認書をゲートで見せないと、ホテルへは入れない。
何回かスパの担当者と英語のメールでやり取りをしたのだが、最後に確認書が来ていない事に私は少しだけ不安を感じていた。
海外では少しの不安は、すぐにその場で解決することが肝心だ。
一応メールのやり取りを印刷したものを、プリントアウトして日本から持参してきた。
宿泊のホテルから、タクシーでバージュアルアラブに向かう途中で、このプリントした紙をホテルに忘れた事に気がついた。
嫌な予感がした。
バージュアルアラブのホテルへ通じるゲートで私は
「このホテルのスパに4時に予約している中野だ!」と英語で話した。
すると恐れていた現実がそこで起こった。
「あなたの名前はこちらのリストには無い!
あなたを通すことはできない!!」
オーマイガーッ!!
「でも私はインターネットから予約して、ちゃんとクレジットカードの情報も伝えた!」
「では何か確認できる予約確認書を見せろ!」
「それは、それは、無い!!」
こんな押し問答が延々と続いたのだが、一向に埒が明かない。
ここまで来て帰る訳にはいかない!このホテルは市街からかなり遠いのだ。
「スパの担当者と電話で話がしたい!」
そう言う私の主張をセイキュリティの方は認めてくれて、電話の取次ぎをしてくれた。