岡山地方豪雨災害 その3
バカなことをした後悔するまもなく、私が次の手を取るために妻を呼び起こして朝の6時
妻の車で再度岡山空港に向かうことにした。
壊れた車は見た妻が驚いた。
こういう時は一番広い道から行くのが一番安全だからと私が運転して一番大きな国道を通って岡山空港に行くことにした。
国道であるので車の通りも多く笹ヶ瀬川の橋を登って降りた時に津高という地域で私は異様な光景を見てしまった。
前方の多くの車がランプをつけて停車している。
目の前には1キロメートルほど冠水した道路があった。
止まっている車はここで様子を見るようか引き返そうか迷って止まっているみたいだ。
待っている内にも後ろからどんどん車がやってくる。
2車線の道なのだがここで引き返すわけにはいかない。
私の選択肢はここで水の回復のを待つか?それともダメ元で冠水した道路に再度突っ込むのか?1 km 先を走り抜けて岡山空港を目指すのか?
このままもし水かさがどんどん増してくればもっとひどい状況になる、この橋の上で待つのは危険だ。そう決断した私は300 M 先まで進んでそこの信号を U ターンをして逆の道に戻って自宅に帰ることを選択した。
先ほどよりは水かさが増していたが車の中に水が入る状況ではなく私と妻は祈りながら 進めて300 M 先で U ターンをして前のトラックと同じようになんとか水が上がった国道に戻ることができた。
そして再度自宅に戻り深夜3時に第2駐車場から引き上げた往診用の車軽四のアルトに乗って私は三度目の正直岡山空港に向かうことになった。
ただ3回目も岡山空港に行くことができなければ私は諦めて何とかしてクリニックに戻り患者さんの診療に当たろうと思っていた。
3回目の道がかなり高台にあったので何とか冠水した地域から出ることが出来て私は岡山空港まで行くことができた。
しかし道すがら思ったのは、もしかしたら全日空の客室乗務員とかパイロットの方も岡山駅周辺で宿泊するはずなので空港まで来れないかもしれない。多くのお客さんも岡山空港までたどり着けないんじゃないかと思っていた。
ありがたいことだが、その日は定刻通り飛行機は札幌に飛ぶことになった。
客室乗務員の女性から「大変でしたか?」という話があり、「そちらこそどのホテルに宿泊されていたんですか?」と聞くと「岡山駅周辺なんですけど、いろんな道を探してなんとかやって空港にたどり着くことができて飛行機を飛ばすことができました!」と言われた。
さすが全日空さんにはすごいプロ根性を見せてもらった。
しばらくは天気の関係でかなり揺れていた機内だが1時間もたたないうちに雨が安定してきて到着した札幌は気温が寒いこと以外には雨も降ってなくて穏やかな天気だった。
私は PMC という会社のPMC アワードと言う表彰式に参加する予定だった。当院がある賞をいただくということで私は受賞者のスピーチのために札幌に来ていた。
しかし札幌にいても多くのスタッフからの LINE とかいろんなメールが入ったり、ニュースでは私の大好きな故郷である岡山がひどいことになっていることを知った。
私は土曜日の夜に仕事を切り上げて懇親会に出ないで岡山に帰るべきかそれとも予定どおり日曜日に帰るべきかここでも迷いに迷った。
今回の PMC アワードの講演会の講師は10年以上前よりお世話になっていたカシータの高橋さん。高橋さんの話を聞きながら今岡山に戻っても何も解決しない、医院周辺は落ち着いている状況だと聞いていた。
予定通り明日の夕方に岡山に戻るとそう決断した私だった。