スーツケースが出てこない?
ロストバゲッジ!!
嫌な予感はしていた。
私はワンワールドの上級会員なので
タグが貼られた私のスーツケースは
いつも早めに出てくる。
それが全然出てこないのだ。
パリから到着便の3番カウンターは
最初は多くの搭乗客でごった返していたが
一人二人とスーツケースを受け取ると
最後は私一人だけその場に残されることに
なった。
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最後まで待っても私のスーツケースは
出てこなかった。
薄暗い人気のいない空港の中
私は「肝力」「肝力」と自分に言い聞かせて
エールフランスのバゲッジカウンターに並んだ。
ロストバゲッジの手続きを済ませた私は
空港でホテルの表示を探したが
どこにも書かれていない。
インフォメーションカウンターが空いていたので
「エアポートホテルはありませんか?」
「今からホテルどこか予約できませんか?」
と聞くとどちらも「ノー!!」と言われる。
私はどうすればいいのでしょうか?と聞くと
「バスで市内に行き、そこで捜しなさい!」と言われる。
ガイドブックも、パソコンもなく、
ホテルも予約していない、荷物もない
バレンシアからかなり遠いバルセロナの
空港で私は途方にくれた。
深夜の空港にはほとんど人がいなく
私は深夜にバルセロナのダウンタウンに
ホテルを探しに行くことは大きなリスクを伴うと考たが、
この空港周辺には宿泊できるホテルはないらしい。
バルセロナは大きな観光都市だが
深夜に予約なしでホテルを探すことは
かなりリスキーな行為でもある。
路地裏で狙われたりしたら私は一発でアウトである。
空港バスの中から私は血眼でホテルの表示、ネオンサインを
目で追っていた。
私は空港バスが着いた場所から一番近いホテルへと入っていった。
その時既に深夜の1時を大きく回っていた。
バルセロナの街はスペインがワールドカップで
1時敗退したので荒れていると聞いていた。
大声を出しながら歩く人、じっとこちらを見ている
アフリカ系の人、誰もが私には犯罪者に見えた。
何とか広場に近い、そのホテルは凄く
おしゃれでかっこよかった。
深夜でも多くの人がバーで楽しく飲んでいた。
「私は予約はありませんが、部屋は空いていませんか?」
フルブック!満室だ!!と断られる。
どこか近くに別のホテルはありませんか?と聞くと
「この道を左にまっすぐ進むといくつかホテルがある!」
と言われる。
嫌な予感がした。
時間が遅すぎる!