抜歯の費用
5年6カ月、当院に勤務してくれた
あるスタッフの退職に伴い、
彼女の送別用DVDが退職した後で
私の元に届いた。
今夜、それをしみじみと鑑賞する。
6分ほどのDVDの中には
退職したスタッフの5年半の歩みが
ギュット詰まっているようで
感無量になった。
当院を巣立っていったスタッフの
これからの人生が、幸多いものに
なることを心から祈る!!
先週の土曜日の診療後、テルダーミスやテルプラグと言う
生体材料でいつもお世話になっているオリンパステルモ
バイオマテリアルの会社の方に当院まで来て頂いて勉強会を行った。
当院でケースにもよるが、抜歯をした時に、
少しでも骨や歯肉が吸収するのを抑えるため、
血の塊を保持するために、抜歯した穴にテルプラグと
言う生体材料を入れて糸で縫合することがある。
かなりギチギチに詰めるのだが、意外に予後がよくて
術後の腫れや痛みが少ないことと、歯肉や骨の落ち込みが
少ないので重宝しているのだが、私は歯科医師になって
はじめてテルプラグやテルダーミスの生体材料についての
正式な講義を受けた。
目からうろこが落ちる話も多く
参加した歯科医師4名は皆感嘆していた。
しかし、歯科医師として残念なことは、日本での保険での
抜歯の点数の低さであろう。
この点数の低さは、歯科医師側と患者さん側には
相反するメリットがあるので一概に悪いとは言えない。
しかし、日本は先進国の中で間違いなく一番安価な負担で
抜歯を受けることが出来る国だと私は思っている。
私が見学に行ったサンフランシスコの歯科医院では
親知らずの抜歯が1本12万円~15万円!
その親知らずの抜歯を静脈内鎮静化の元
1時間で4本一気に行っていることを見て私は
本当に驚いた。
1時間で4本抜いて費用は60万円!!
日本では一番困難な抜歯!下顎の横向きの親知らず1本の
抜歯で3割負担で患者さん負担は3000円前後!
歯科医院にはトータルで1万円前後のお金が入る。
奥歯の普通抜歯では、患者さん負担は800円程度
トータルで2600円前後のお金が歯科医院に入る。
抜歯1本が2500円~1万円の日本の料金と
1本10万円以上のアメリカ!
生体材料であるテルプラグは、もちろん使い捨てであるのだが
価格が1つで1000円から1500円!
最近重宝しているピエゾサージェリーの使い捨ての
コードの換えが1本1500円!
メーカー指示であれば5回程度の使用で交換すべき
ピエゾの先の刃は、1回の使用で数千円の計算となる。
ピエゾを使って、テルプラグを使うと
抜歯の費用より、材料代、機械代の方が
大幅に高くつく大変な計算になる。
今日の男性の方は、ワーファリンと言う
薬を飲んでいるので、抜歯後、血が止まりにくい!
モニターをしながら、慎重に抜歯をして、テルプラグを
抜歯した場所に入れて、糸でしっかりと縫合する。
それで2600円!
材料費を引くと、いったい幾らが手元に残るのだろうか?
抜歯1本10万円欲しいなんてそこまで言っていない!
せめて、患者さんが安全で安心できる抜歯が出来る程度の
保険点数を付けて欲しいと私は真剣に思う。