歯医者からの電話
午後の診療の初めに
数名のスタッフから
私のユニフォームの背中に
「髪の毛が一杯付いています!」
と指摘される。
髪の毛?それは抜け毛?
えっ!抜け毛??
抜、け、毛 ???
白髪の逆襲に加わり
薄毛でも、これからの私は悩むのか??
顎の髭を脱毛して、頭に埴毛したい!!
午前中の最後の右下2本のインプラントのオペも無事終わる。
今回の患者さまは若い女性の方で、もちろんインプラントは初体験!
最初から緊張がひどく、顔も強張っている。
その方の様子を見ていて、ふと数日前の記憶が蘇る。
先日、一緒に飲んだ奈良のK先生から
「中野先生は、自分の顎にドリルで穴を開けたことはありますか?」
と聞かれた。
私は歯の治療はブリッジまでは経験があるが、インプラントの経験はないので
「ありません!」と答えると、
「それでは患者さんの心までケアしたインプラントはできませんね!」
と言われる。
心までケアしたインプラント?
完全無痛、ウトウトしている間にインプラントが終わる
完全無痛インプラントを当院でも取り入れる時期になっているのか?
そう思ったのが数日前、だから今日は患者さんの不安を少しでも
少なくして、インプラントのオペをしないといけない。
血圧計と血中酸素飽和濃度のモニターを付けて、患者さんの
様子を確認する。
それからおもむろに手術着に着替えて、きちんと手術用の帽子もかぶる!
この帽子、暑くなるこの季節は、蒸れるので、抜け毛が怖い!!
スタッフのアシストで、順調にインプラントのオペは終わった。
今日の夜の8時前、その方のことが少し気になって
お宅に電話をして様子を伺うことにした。
しかし、カルテになぜか電話番号が書かれていない!
問診表に書いている番号に電話をすると
「現在使われておりません!」とのアナウンスが流れる。
ちょっとムキになり、104に電話して番号を調べる。
「この町内のKさんは、1件しか登録がありません!」
ビンゴ!!当りだ!!!
教えてもらった番号に電話をすると、年配の男性が電話に出られる!
「なかの歯科クリニックの院長の中野と申します!
K、Nさんはいらっしゃいますか?」
「はー!クリニック? 何のようじゃ?」
どうも実家にかかったらしい!そこからまた紆余曲折を経験して
また別の番号に掛けなおして、やっと患者さんと電話で話すことが出来た。
「痛みも、腫れも、しびれも無い!」との言葉に安心して
受話器を置く。
「わざわざ心配して、電話までしてもらって、ありがとうございます!」
と丁重にお礼を言われる。
少しうれしくなって、頭を掻くと、また髪が抜けた!!
自分の頭にインプラントが必要か?