歯の怪我
アルバイトの学生さんから
謝恩会での私のDJ OZMAの
写真を見せてもらう。
金色のアフロが思いっきり恥ずかしい!
今日の午後に当院に1本の電話が入り
「3歳の子供の前歯が抜け落ちたのですが、どうすればいいんですか?」と聞かれた。
抜けた歯を、牛乳かお母さんのお口の中に入れて
乾燥しないように注意して、少しでも早く来るようにお願いした。
電話の向こうのお母さんはかなり気が動転している様子で
きちんと指示が伝わったかどうか?心配だった。
電話から20分後に、3歳になったばかりの子供さんが
抜け落ちた歯といっしょに当院に来院された。
話を伺うと、抜けてから既に3時間以上経過していて、
抜け落ちた歯はかなり乾燥している様子だった。
「これは無理かもしれない!」そんな思いを感じながらも
駄目になる可能性を話しながら、抜け落ちた歯を抜けた場所の
歯肉に押し込んでワイヤーと接着剤で固定した。
もしこの子が自分の子なら、1%でも可能性があれば
私は絶対これと同じ処置をすると思ったからだ。
しかし3歳になったばかりの子供さんの抜けた前歯を所定の位置に
押し込んで、その場で固定するのは困難を極めた。
自分の子供なら、叩いてでもぶってでも、動かないようにさせるのだが
他人のお子様なのでそうはいかない!
春先と秋の運動会のシーズンにはどうしても子供さんの怪我が多くなる時期だが、私は、子供さんの怪我では苦い思い出がある。
7年ほど前、ある木曜日の夕方、休診の誰もいない診療室で
私が事務の仕事をしていると1本の電話がなった。
「5歳の女の子が自転車で転倒して、家に帰った時は
上の顎と下の顎が血だらけの状態。」
その時も私は母親に今の状況をよく確認して
「歯が抜けていたり、めり込んでいないかよく確認して
すぐに来院してください!」と指示を出した。
しかし30分後、来院された時、血液をぬぐってよく見ると
生えたばかりの前歯が1本抜けて無くなっていた。
自分の娘が血だらけで家に帰ってきたとき、「あせって動揺する気持ちを抑えて、血液をぬぐって歯の状態をきちんと確認してください!」
と言うほうが無理だった。
歯がないのだから、あきらめざるを得ない!
でももしこの子が自分の子供だったら私はどうする?
それから私は、その子と母親を車に乗せて、自転車で転倒した場所へ
連れて行ってもらった。
車は国道180号線を北西にどんどん進んで、最上稲荷をも越えた。
こんな遠い場所からわざわざ当院まで通ってくれていたのか?
そんな思いを胸に私は転倒した場所へ急いだ。
「あの辺り!」
その子が指差した場所は、自転車で上がれる陸橋の上だった。
私がその陸橋を隈なく探してみると
見つかった!
すっぽりと抜け落ちた前歯が1本!
しかしそのとき既に、怪我をして抜け落ちてから3時間以上の時間が経過していた。
その上に陸橋の上は汚れた状態で、歯は乾燥したうえに汚染されていた。
夕方のラッシュに巻き込まれながら40分かけて当院に
戻り、通常通り洗浄して復位と固定を図った。
祈るような気持ちで歯を元の位置に戻した。
5歳の女の子は処置中涙を全く流さないで歯を食いしばって頑張った。
しかし一度は生着したその前歯は、2年後に外部吸収を起こして
抜け落ちてしまった。
私は自分の不甲斐なさが凄く悲しくなった。
7年前のあの時の思いが、泣く子供の固定をしながら
私の中でフラッシュバックされる。
本日の教訓
「歯が怪我で抜け落ちてしまったら、乾燥しないように注意して、1分でも早く歯医者に駆け込むべし!!」
うまく生着することを祈る!!