仮歯作りへのこだわり
今日臨床研修施設指定届けが
厚生労働大臣の枡添さんの名前で届いた。
これで正式に当院は厚生省が認める
歯科医師臨床研修施設に認定された。
岡山県下でもこの認定が下りている施設は
まだそう多くない!
今年から研修医の先生を受け入れて当院で研修が始まる。
その研修施設の責任者である私は昨日から
研修登録医として岡山大学歯学部に通い始めた。
人に教えるためには、人の倍は学ばないといけない!!
私は大学の補綴科出身のために、前歯の被せにうるさい。
セラミックなどは歯科技工士さんが作るので、セラミックの出来栄えに関しては
型取りが済んだ後は、技工士さんの仕事になり、私の出る膜はない。
しかし診療室で直接作る仮歯の作成は、基本的にほぼ歯科医師の仕事になる。
私はこの仮歯を作ることが大好きだ。
前歯の仮歯は仮の歯であってもされど前歯である。
仮歯でも形と色に拘らないといけないし、最近では拘る患者様が増えた。
私達歯科医師は即時重合レジンと言ってその場で練ったり筆で積み上げて
降下させる白い材料を用いて仮の歯を作る。
5年前までは色見本でAの3を用いれば日本人の80%の歯にあわせることが
出来たので仮歯もその同じ色を使えばそう大きく外れることは無かった。
しかし最近ではホワイトニングの流行で当院の患者さんの歯の色はドンドンと
白く変化して行っている。
そのホワイトニングした白い歯に仮の歯の色も合わせないといけない。
セラミックの技工士さんがセラミックを繊細に筆で盛り上げて行くのと同じように
私も筆を使って即時重合レジンを盛り上げてゆく。
数分で降下させると今度は細いバーを用いて、その歯の形を自然な風合いに仕上げてゆく。
ここが不思議なところだが、ある瞬間に仮の歯にも魂が宿る瞬間がある。
今まで眠っていた歯の魂がパッと目覚めたようにいきなり輝き始める。
仮歯の形を整えながら、歯と歯の間の感じを整形してゆくと、ある時にその瞬間が訪れる。
それは達磨の目が一瞬で書かれる様でもあり、
人形の目がパッと開くようにも感じる。
私はその瞬間が大好きだ。
もちろん仮の歯なのでその運命はぜいぜい2週間足らず!
しかし私はウスバカゲロウのように儚い運命の仮歯でも
全力を傾けて魂を入れ込んでゆく。
そんな私なので仮歯を喜んで頂けると
最高にうれしい!!
仮歯は仮歯でもあり、
やっぱり仮歯なのだ!!
(なんのこっちゃ?)