バレンシアのホームレス歯科医
29日日曜日最後のバレンシア
バレンシアで4日目
実は2日目の夜、私のスーツケースが
パリの空港で見つかったので急いで
バレンシアのホテルに届けますと言われていた。
しかし、待っても待ってもスーツケースが
私の手元に届くことはなかった。
本当は日曜日の午前中はロエベのショプに行き
妻にお土産のバッグの1つでも買おうと思っていた。
しかしこの4日間、ZARAの紙袋1つだけで
過ごしてきたこの私は、段々とホームレスの
様相に近づいていっていた。
髭は伸び放題!髪はボサボサ、スーツは汗臭い!!
妻には大変申し訳ないがロエベは早々にあきらめて
私はバレンシアの空港に向かった。
午後1時の便がもし欠航にでもなれば
私は日本に帰ることができないからだ。
バレンシアの空港は凄く狭く朝の10時に
空港に着いた私はチェックインカウンターが
開くのが午後11時と聞いてコーヒーショプで
11時まで待った。
11時になり、何とかチケットを発券した
私はもちろん預ける荷物など何も無い。
ZARAの小汚い紙袋と小さなブリーフバッグ
1つだけ持って私はチェックインカウンターで
チェックした。
手荷物審査の場所は凄く込み合っていた。
そこであるアクシデントが起きた。
私がバレンシアで4日間寝食を共にした
ZARAの紙袋の取っ手がもげてしまったのだ。
このバレンシアの4日間で私が
最も悲しみを感じた瞬間だった。
私は空港内で1ユーロで黄色の大きなバッグを買って、
ZARAの髪袋をそのまま入れた。
スカイチームのエリート会員の
私はたとえエコノミークラスであっても
空港内のラウンジが使用できる。
空港内のラウンジには、ほとんどお客さんの
姿は無かったのだが、私が入って10分後に
日本人と思われる夫婦の方が入ってこられた。
バレンシアで日本人?
100%歯科関係者??
そう思った私は不躾にも、そのご夫婦に
ラウンジの中で声をかけた。
東京の歯科医師のご夫婦で、毎回
カムログコングレスに来られているらしい。
パリの空港で私と同じく6時間ほど
トランジットの時間があるらしい。
海外旅行に凄く慣れていらっしゃる東京のI先生ご夫妻と私は
初対面にも関わらずパリの空港で、ずっとご一緒させてもらって、
パリの空港内で一番美味しいと言われるフレンチレストランで
ワインと素晴らしいフレンチのコースまでご馳走をしてもらうのであった。
日本に帰国して妻に報告すると
「あなたが凄くみすぼらしいかっこをしているので
きっと同情されたのよ!」と言われる。
「知らない人に声をかけるなんて信じられない!」
とも言われた。
でも、I先生ご夫妻、バレンシアとパリでは
大変お世話になり、尚且つご馳走になりました。
来年、岡山で日本口腔インプラント学会が開催されます。
その節はあの時のお返しをぜひさせて下さい!