歯医者の仕事
お誕生日会で深夜まで飲み続ける。
木曜日は仕事をしながら
朝も昼も夜もしっかりと食べる!
そして金曜日の朝、10キロ落ちたはずの
私の体重がたった2日で2キロ増加した
事実に気が付く。
「私って水を飲むだけで、太っちゃうのよね!」
嘘だ!食べているから太るのだ!!
数年前になるが、ある若い女性の方がお母様に付き添われて、
奈良県からわざわざ岡山市の当院まで来院された。
その女性の方はその時は30歳であったが
歯に大きなコンプレックスがあり、
20歳からの10年間自宅に引きこもっていて
一歩も外に出ない状態にあった。
「前歯がひどく醜いので誰にも会いたくない!」
伏し目がちで小さな声で彼女は私に呟いた。
服装も地味な色で、髪も全く気を使っていなく
化粧っ気も無く、30歳の女性には見えなく、
失礼ではあるが中年の女性にさえ見えた。
インターネットで当院の存在、医院理念を知り
ここであれば、自分の口を開けてみてもらえる!
そう思った彼女は10年ぶりに重い腰を上げて
自宅から出て、3時間以上かけて当院まで来院された。
歯科医師の私と歯科衛生士でもある私の妻以外には
誰にも自分の歯を見せたくはないと
診療は当時、休診にしていた木曜日の午後の時間を
利用することにした。
最初、彼女の歯を見たときは
私もかなり絶望的な気持ちになった。
前歯が大きく虫歯で掘れていて
真っ黒になっている歯も数本あった。
保存できない歯の抜歯も含めて
私は治療計画を提案した。
月に2回程度の来院だったが木曜日の午後の
集中治療は続いた。
1回に2時間以上の集中治療をすることになった。
集中治療の成果も出て、数か月後には彼女の歯は
まだ仮歯ではあったが、かなり見た目はいい線まで
来ていた。
その頃から彼女の着ていた服装と
髪型とお化粧がドンドンと綺麗に変化する
ことに私は驚いていた。
最初の時に私に目を合わさなかった彼女が
その頃になると、しっかりと目を合わせて
話をされるようになった。
顔立ちはもともと、お母様に似て
とても綺麗な女性だったので
いつか来て来られた真っ赤なカーディガンは
凄くお似合いだと思った。
治療が終わったときは、本人とお母様から
本当に感謝され、私も歯科医師になって
本当に良かったと心から感じた。
彼女は歯の治療が終わり、1年もしないうちに
結婚が決まり、島根へと嫁いで行ってしまった。
わざわざ島根から車で、また3時間以上かけて
当院まで定期検診に来られたことがある。
しかし、その後、彼女には一回も会っていない。
歯の治療って、命に直結しないのでバカにされたり、
軽んじられたりすることが確かにある。
医師の平均年収と歯科医師の平均年収を比較してみると、
実に2倍以上の開きがあり、残念に思うことも、
もちろんある。
でもね!私たち歯科医師や歯科医院スタッフは
深い悩みやコンプレックスを持った人たちを
歯の治療を通じて救うことができる。
虫歯が激減した今でも歯のことで悩んでいる
人たちが日本には山のようにいらっしゃる。
自信と誇りをもって、歯科の世界で
私たちは一生をかけて頑張りたいと
心からそう思う!!