インプラントトラブル勉強会でのトラブル
日曜日の朝、私は地下鉄で千里中央駅へ向かった。
SAFEと言う大阪で開催されたインプラントの
トラブル症例の勉強会に参加するためだ。
連休とはいえ、テーマがテーマのためか?
多くの歯科医師の関心を引いたようで
当初は会場の関係で300名と言っていた定員も
430名以上と凄い参加者だった。
岡山からも通人知人の多くの歯科医師が参加していて
終日インプラント治療に関するトラブル症例に
ついて多くの学びを私たちは得た。
私は岡山大学歯学部を卒業後、補綴科と言って
差し歯やかぶせ、ブリッジを専門に扱う科に在籍した。
その岡山大学歯学部第一補綴科も
数年前に名称が変わりインプラント補綴再生分野?
そんな名前となり、科にインプラントの名称が
入ることになった。
ブローネマルク教授が骨と結合する
インプラントを開発したことで世界の歯科の流れは
大きく変化した。
昔のように予後に不安を抱える歯周病の
歯を無理に残すより、そこに適切にインプラントを
使うことが他の歯を守ることにも繋がる。
世界の歯科の流れは骨と結合する
オステオインテグレイテッドインプラントの登場で
大きく変化した。
しかし、多くの歯科医師が治療の流れをインプラントに
方向転換する中、多くの歯科医師がインプラント治療に
取り組めば取り組むほど、100%の成功率では決してない
インプラント治療に対するトラブルは増えていった。
そこで「転ばぬ先の杖」ではないが、インプラントセミナーでは
珍しく一日丸ごとインプラント治療のトラブルの
内容になった。
会場内では、今回は特にインプラントのトラブルが
テーマのため、写真撮影、ビデオ撮影は厳に禁じますと
再三再四アナウンスされていた。
本当に驚いたのだが、私の斜め前に座っていた
若い男性の一人がこっそりとバッグからカメラを
取り出して、写真を撮影し始めた。
私は気が気ではなくなり、注意しようか?
それとも会場係が気がつくまで放置しようか?
凄く悩んで、しばらく様子を見ることにした。
しかし、この盗撮が知れ渡ったら、会場の雰囲気は最悪になるし
最悪の場合、主催者側は急遽セミナーを中止にするかもしれない。
誰も傷つけず、こっそりとこの無断撮影を
止めさせることはできないのだろうか?
悩みながら何も行動できない私がいた。
「ドーーーン!!」
大きな音が急にして私は凄く驚いて
座っていた椅子から5cmほど飛び跳ねた。
私の2個横に座っていた先生が
前の椅子を凄い勢いで蹴ったのだ。
「写真撮影禁止って何回も言ってるやろ!」
凄むような低い声でその先生は一言だけ言った。
ヒエーッ!怖い!!!
前の席を大きな音を立てながら蹴って、
注意する行為が果たしてあの会場の
場の雰囲気にあっていたのかは別にして
それっきり前の男性の人は写真の撮影を止めた。
おそらく前の男性も歯科医師
横の男性も歯科医師、私も歯科医師である。
色んな歯科医師がいるなと感慨深く思ったが、
世の中には何も自分から解決しようとしなく
他の人の批評、悪口ばかり言っている
批判家と言うポジションがある。
自分から前向きな行動を取り
すべてを自分のペースですすめる
リーダーと言うポジションがある。
私はリーダーになれるチャンスを
一回だけ失ってしまった。