インプラント治療についての岡山市の方からの質問
インプラント治療について、歯科医の立場からお答えいたします。
(1)インプラントにはなぜ健康保険が適用されないのですか?
日本の健康保険制度は、「病気やケガを治して、日常生活に支障が出ない
最低限の機能を回復させる治療」に適用される仕組みになっています。
そのため、入れ歯やブリッジといった保険診療で機能回復が可能な治療法が
すでに存在している場合、それ以上の高度な治療は「自由診療(自費診療)」
という扱いになります。
インプラントは、
・見た目が自然
・しっかり噛める
・周囲の歯を削らなくてよい
など、多くのメリットを持つ先進的で高品質な治療ですが、
「生活に最低限必要な治療の範囲」を超えるため、原則として健康保険の適用外となっています。
(※事故や腫瘍などの特殊なケースでは、例外的に大学病院等で保険が適用されることもあります。)
(2)インプラントにはなぜ高額の医療費がかかるのですか?
インプラント治療が高額になるのには、いくつかの理由があります。
① 高度な医療技術と専門的な設備が必要
インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込む外科手術を伴う治療です。
CT撮影、滅菌設備、精密な手術機器など、一般的な歯科治療以上に高度な医療環境が必要となります。
② インプラント本体が高品質な医療材料でできている
インプラント体は、主に「純チタン」などの生体との親和性が非常に高い素材で作られています。
これらは体内で長期間安全に使える反面、材料費そのものが高額です。
③ 治療期間が長く、手間と時間がかかる
インプラントは、
・診断
・手術
・骨と結合するまでの治癒期間
・最終的な被せ物の作製
と、数か月〜半年以上かけて丁寧に行う治療です。
この長期間にわたる診察・管理・技術料も費用に含まれます。
④ 長期的な安定性と予後管理が前提の治療だから、インプラントは「入れて終わり」ではなく、
10年、20年と長く使い続けることを前提とした治療です。
そのため、噛み合わせの精密な調整や、術後の定期管理まで含めた費用設定になります。
まとめ
インプラントが
• 保険適用外であるのは「高度で付加価値の高い自由診療」だから
• 高額になるのは「安全性・精密性・長期安定性を追求した医療」だから
という点をご理解いただければと思います。