「 日本口腔 インプラント 会総 会・ 学術 大 会」
福岡で開催された「日本口腔インプラント学会総会・学術大会」に参加してまいりました。今年のメインテーマはまさに“今と未来”を象徴する「AI(人工知能)とロボティクス」。世界的にも歯科医療のデジタル化・IT化は急速に進んでいますが、日本のインプラント治療も例外ではなく、AIが診断をサポートし、ロボットが補助的な埋入動作を支える時代が本格的に近づいています。
私は岡山で開業して35年になりますが、インプラント治療はこの10年で、さらに大きく進化しました。従来の経験と勘に頼る部分が多かった時代から、現在はCT撮影→デジタルシミュレーション→サージカルガイドという標準化された流れが確立し、精度と安全性が大きく向上しています。そして今回の学会で示されたのは、「ここからさらに次のステージに進む未来」です。
■ AIが評価する「診断の再現性」
AIは膨大な過去データをもとに骨密度、骨形態、神経位置などを解析し、埋入位置の最適解を提示することができます。つまり“経験豊富な専門医の頭の中の判断基準”を共有可能な形にしてくれるわけです。これにより、診断のばらつきが減り、患者さんにとってより確実で説明責任のある治療が提供できるようになります。
当院でもすでにAI解析ソフトを導入し、CT画像診断の補助に活用していますが、学会で提示された最新データを見ると、AIの精度は今後さらに高まり、「治療前の説明の透明性」と「予後の安定性」の向上に直結することが期待されます。
■ ロボットによるサージカルアシスト
次に注目されていたのがロボティクス領域です。すでに欧米では、外科手術支援ロボットが当たり前に使われるようになっており、インプラント埋入においてもミリ単位以下の精度を安定して実現しています。今後は日本国内でも徐々に臨床導入が進み、将来的には「AIで設計→ロボットで再現する治療」が一般化していくと考えられています。
もちろん、医療において最終意思決定は常に人間(歯科医師)が行いますが、その治療技術を支え“より安全に・より確実に”実行するパートナーとしてロボットが働く時代が近づいていると実感しました。
■「岡山にいながら全国レベルの治療を」——地域医療の使命
岡山市という地方都市に開業している私にとって、このような最先端の知識と技術を現場に還元することが最大の使命です。
「都会へ行かないと良いインプラント治療が受けられない」
そう誤解されている方はいまだに少なくありません。しかし、医療の質は都市規模ではなく医師の姿勢と継続的な学習によって大きく変わります。今回も全国の専門医とのディスカッションのなかで、大都市圏と同等、あるいはそれ以上に熱量と未来視点を持って地域医療に貢献している開業医が多数おられ、強い刺激を受けました。
岡山なかの歯科・矯正歯科クリニックも、最新のAI診断、3Dガイドサージェリー、そしてデジタル義歯・即時荷重インプラント(All-on-4/All-on-X)の臨床経験を組み合わせることで、「地域にいながら世界基準の治療」を提供してまいります。
■ AIと人間の協働でさらに進化するインプラント治療
AIやロボットというと「機械が代わりに治療をする」というイメージを持たれがちですが、実際はまったく違います。人間の“技量差で失われてしまう可能性のあった僅かな精度”を、テクノロジーが補完してくれるのです。
人間が持つ経験・判断・美的感覚
AIが持つ膨大なデータ分析
ロボットが持つ正確性と再現性
この3つが融合することで、治療の質は飛躍的に向上します。
■まとめ:歯科医療は「職人技」から「科学×芸術」へ
今回の学会テーマである「AIとロボティクス」は、決して一時的な流行ではありません。むしろインプラント治療が“感覚と熟練”だけに依存する時代を終え、「科学的根拠と客観的精度」を伴う医療に進化していく過程だと強く実感しました。
そして最終的に患者さんに喜ばれる治療とは、単に“埋入が上手い”ことではなく、
・安全性
・長期安定性
・自然な噛み心地
・審美性
・患者さんの人生の満足度
こうした総合的な価値を満たす治療です。
デジタル技術やAIは、その未来をさらに確実なものへと後押ししてくれます。岡山の地から、これからも全国レベルのインプラント治療をお届けできるよう、日々研鑽を続けてまいります。
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「隠れ歯石」って知っていますか?実はものすごく悪いやつです。皆さん、こんにちは。岡山なかの歯科・矯正歯科クリニック院長の…