抜歯は「力」ではない!若い歯科医師に伝えたい抜歯の技術
抜歯は「力」ではない!若い歯科医師に伝えたい抜歯の技術
こんにちは。
岡山なかの歯科・矯正歯科クリニック院長の中野浩輔です。
先日、私は「抜歯」をテーマにした講演会に参加してきました。
それをスタッフに話すと、
「院長が、今さら抜歯の講演会ですか?」
という声が。
確かにそう思いますよね。
私は歯科医師になって長い年月が経ちましたし、当院の中でおそらく一番多く抜歯をしている歯科医師も、この私です。
では、なぜ今さら私が「抜歯」を勉強しに行ったのでしょうか?
実は今回の目的は、私自身が抜歯を上手になることだけではありません。
当院の若い歯科医師の先生たちに、より安全で、より確実な抜歯のテクニックを教えるため。
そのための情報収集、そして指導用の資料作りが大きな目的でした。
私は抜歯が早いです!
自分で言うのも何ですが、私は抜歯がかなり早いと思います。
「院長は筋トレをしているから、力があるから早いんでしょう?」
と思うスタッフもいるかもしれません。
確かに私は筋トレをしています(笑)。
しかし、抜歯に一番必要なのは腕力ではありません。
むしろ私は若い先生たちに、
「力を入れて抜こうとするな!」
と伝えたいのです。
抜歯で大切なのは、歯の形、歯根の方向、周囲の骨の状態をきちんと把握して、器具を正しい位置に当て、適切な方向へ力を加えることです。
力任せに引っ張っても、歯は簡単には抜けません。
逆に余計な力を加えることで歯が折れたり、周囲の骨を傷つけたりして、結果的に時間がかかってしまうこともあります。
私が目指しているのは、
「力が入らない抜歯」
です。
なぜ院長が一番たくさん抜歯をするのか?
当院では複数の歯科医師が診療していますが、私が一番多く抜歯をしていると思います。
その大きな理由が、私が多く担当しているオールオン4(All-on-4)の手術です。
オールオン4では、保存が難しい歯が多数残っている患者さんの場合、それらの歯を抜歯した後、インプラントを埋入し、その日のうちに固定式の仮歯を装着する治療を行うことがあります。
明日も私は、上下合わせて15本の歯を抜歯し、そのまま上下のオールオン4の手術を行う予定です。
15本です!
もし1本の抜歯に10分かかったらどうなるでしょう?
10分×15本=150分。
抜歯だけで2時間30分です。
そこからインプラントを埋入して、仮歯まで進めるとなると、患者さんの身体的な負担も大きくなります。
だから私は、安全性を確保しながら、できるだけスムーズに抜歯を進めることを非常に大切にしています。
ただし、「早ければ良い」という話ではありません。
速い抜歯と乱暴な抜歯は全く違う
ここは患者さんにもぜひ知っていただきたいところです。
私が目指しているのは、
「とにかく早く引っこ抜く抜歯」
ではありません。
大切なのは、できるだけ周囲の骨を傷つけずに歯を抜くことです。
特に抜歯後にインプラントを埋入する場合、周囲の骨をどれだけ保存できるかは非常に重要です。
歯を抜くために骨を大きく削ってしまえば、その後のインプラント治療が難しくなることがあります。
だからこそ、
骨を保存する。
歯ぐきを傷つけない。
余計な力を加えない。
できるだけ短時間で終える。
このすべてを同時に目指します。
結果として、手術時間が短くなれば患者さんの負担軽減にもつながりますし、周囲組織へのダメージを抑えることができれば、術後の痛みや腫れを少なくできる可能性も高まります。
「抜歯が早い」というのは、単なるスピード自慢ではないのです。
技術は自分だけが持っていても意味がない
そして今、私が強く感じていることがあります。
それは、私が長年の臨床経験の中で身につけてきた技術を、次の世代の歯科医師に伝えていかなければならないということです。
自分一人ができても、それだけでは医院全体のレベルは上がりません。
若い先生が成長し、その先生がまた次の若い先生に教える。
そうやって技術が受け継がれていくことで、10年後、20年後の岡山なかの歯科・矯正歯科クリニックにつながっていくと思っています。
もちろん抜歯は、教科書を読んだだけで上手になるものではありません。
「どこに器具を入れるのか?」
「どの方向に力を加えるのか?」
「この歯はどこで折れる可能性があるのか?」
「骨を残すためには、どこを触ってはいけないのか?」
こうしたことを、実際の症例を通じて一つ一つ身につけていく必要があります。
だからこそ、教える側の私自身が学び続けなければいけません。
シルバーウイークは資料作り!
今回の講演会で得た知識に、私自身がこれまで経験してきた数多くの症例から得たノウハウを加えて、このシルバーウイークに若い先生向けの「抜歯の資料」を作りました。
せっかくのお休みなのに何をしているのか?とも思いますが(笑)、こういう時間が私は嫌いではありません。
63歳になっても、まだまだ勉強することは山ほどあります。
そして今は、自分が新しい技術を習得することと同じくらい、若い歯科医師を育てることに大きなやりがいを感じています。
「抜歯は力ではない!」
「患者さんにできるだけ負担をかけない!」
「骨を守り、次の治療につながる抜歯をする!」
私が長い臨床経験の中で学んできたことを、これから若い先生たちに一つでも多く伝えていきたいと思います。
明日は上下15本の抜歯からの、上下オールオン4。
患者さんの負担をできるだけ少なくしながら、安全に、確実に。
そして私自身も、若い先生たちに負けないように。
まだまだ学びます。
まだまだ教えます。
そして、まだまだ現役で頑張ります!