歯科麻酔薬の不足という“見えない危機”について
こんにちは。
岡山なかの歯科・矯正歯科クリニック院長の中野浩輔です。
本日は、患者さんにはあまり知られていない、しかし現在の歯科医療において非常に重要な問題についてお話しさせていただきます。
それは
「歯科の麻酔で使用する麻酔薬の不足」です。
現在、歯科治療で日常的に使用されている麻酔薬(カートリッジタイプ)が全国的に不足しています。
この問題は一部の医院だけでなく、日本中の歯科医院で起こっている深刻な課題です。
■歯科麻酔薬がなぜ重要なのか
歯科治療において麻酔は欠かせない存在です。
虫歯治療、抜歯、インプラント、歯周外科処置など、ほとんどの処置で使用されます。
特に当院のように
・インプラント治療(オールオンフォー)
・外科処置
・精密な歯科治療
を日常的に行っている医院では、麻酔薬の消費量は非常に多く、
1日で数十本単位のカートリッジを使用することも珍しくありません。
つまり、この麻酔薬が無くなるということは、
治療そのものができなくなる可能性があるということです。
■なぜ不足しているのか?
今回の麻酔薬不足には、いくつかの原因が重なっています。
・製造メーカーの供給制限
・原材料不足
・輸送コストや物流の問題
・世界的な医薬品需要の増加
これらが複雑に絡み合い、日本国内への供給が不安定になっています。
歯科医療は安定しているように見えて、実はこうした「供給」に大きく依存している側面があります。
まさに今回の件は、それを強く実感させられる出来事です。
■当院で行っている対応
院長として、この状況をただ見ているわけにはいきません。
現在、当院では以下のような対策を講じています。
①今までお世話になっている歯科材料店の担当の方に直接お願いする
長年の信頼関係を活かし、優先的な供給をお願いしています。
②岡山の他の歯科材料店にも依頼
これまで取引のなかった業者にも連絡し、供給ルートを増やしています。
③関東の大手歯科材料店へ依頼
比較的在庫があると言われている大手業者にも積極的にアプローチしています。
④海外からの合法的な輸入の検討
国内に無いのであれば海外という選択肢も視野に入れています。
⑤岡山大学歯学部の歯科麻酔教室への相談
大学のネットワークを活用し、情報収集と協力体制を模索しています。
■それでも安心とは言えない現状
現在の情報では、4月半ばには供給が回復する可能性があると言われています。
しかし、それまでは非常に不安定な状況が続きます。
特に当院のように
歯科衛生士23名を抱える大型歯科医院では、
日々の麻酔使用量も非常に多く、
「あと何日分の在庫があるのか」
というレベルでの管理が必要な状況です。
■患者さんへのお願い
現時点で診療を止めることはありませんが、
場合によっては
・治療内容の調整
・予約の変更
・応急処置の優先
などをお願いする可能性もゼロではありません。
これは決して医療の質を落とすためではなく、
安全に治療を継続するための判断です。
どうかご理解いただければ幸いです。
■今回の出来事から感じること
今回の麻酔薬不足を通じて、改めて感じたことがあります。
それは
医療は「当たり前」ではないということです。
普段、何気なく受けている歯科治療も、
多くの人、物、流通、技術によって支えられています。
そのどれか一つが欠けるだけで、
簡単に成り立たなくなってしまうのです。
■それでも私たちは止まりません
私は院長として、そして歯科医師として、
どんな状況でも患者さんの治療を止めるわけにはいきません。
これからも
・安全で痛みの少ない治療
・質の高い医療の提供
・安心して通える歯科医院
を守るために、できることは全て行います。
■最後に
今回の問題は一時的なものになる可能性が高いですが、
今後も同様のことが起こる可能性は十分にあります。
だからこそ当院では
・複数の供給ルートの確保
・在庫管理の強化
・リスクへの備え
をさらに徹底していきます。
患者さんにとって「いつでも安心して通える歯科医院」であり続けるために。
今後とも、岡山なかの歯科・矯正歯科クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。